英国地質調査所

英国地質調査所 (British Geological Survey: BGS)

英国地質調査所は、イギリス本国およびその大陸棚を対象とした地質学的調査、継続的な地球物理学的監視、そして関連分野の研究活動を担うイギリスの主要な国立機関です。「英国地質研究所」と呼ばれることもあります。その正式名称はBritish Geological Surveyであり、一般的に略称であるBGSとして知られています。

所在地

本部はノッティンガムシャーのKeyworthに位置していますが、活動拠点は多岐にわたります。エディンバラ、ウォリンフォード、カーディフ、エクセター、ロンドンにも主要な支所が設けられており、全国的なネットワークを通じて業務を展開しています。

歴史的変遷

BGSの起源は、1835年にヘンリー・デ・ラ・ビーチによってマンチェスターのセント・ビーズ・カレッジ内に設立された「英国陸地測量局」(Ordnance Geological Survey)に遡ります。これは、国家のニーズに応えるための地質調査を目的とした、世界で初めての国家的な地質調査機関でした。この初期の組織が、現在のBGSの礎を築いたと言えます。

その後、組織は幾度かの再編と名称変更を経験します。特に重要なのは、1965年の統合です。この時、英国陸地測量局は、地質学博物館（Geological Museum）および海外地質調査所（Overseas Geological Surveys）と統合され、「地質科学研究所」(Institute of Geological Sciences: IGS)として再出発しました。この統合により、国内および海外の地質情報や研究機能が一元化されました。

そして、1984年、地質科学研究所は現在の名称である「英国地質調査所」(British Geological Survey)に改称され、現在に至っています。

現在の役割と活動

現代の英国地質調査所は、単なる地質図作成機関にとどまらず、地質学および関連する環境科学分野における幅広い専門知識を提供しています。政府、公共機関、研究機関、さらには産業界に対し、地質構造、地下資源、地下水、地質災害（地震、地滑りなど）、環境変動といった様々な課題に関する専門的な助言やコンサルティングを行っています。

BGSは、イギリス自然環境研究委員会（UK Natural Environment Research Council: NERC）の傘下にある主要な環境科学研究機関の一つです。NERCの一員として、BGSは環境科学における先進的な研究を推進し、地球科学に関するデータの収集、管理、提供においても中心的な役割を担っています。これにより、政策決定、国土開発計画、および公共の安全確保に必要な科学的根拠を提供しています。

その活動は、気候変動の影響評価、地熱エネルギーのポテンシャル調査、炭素貯留の可能性研究など、現代社会が直面する地球規模の課題にも広がっており、環境科学分野におけるイギリスの最先端研究を支える重要な存在となっています。

もう一度検索