英熱量

英熱量（Btu）とは

英熱量（British thermal unit、記号：Btu）は、ヤード・ポンド法におけるエネルギー、仕事、熱量の単位です。日本では「英熱量」という名称で、記号「Btu」とともに計量法で定められており、その値は1055.06ジュールと定義されています。主にアメリカとイギリスで使用され、特にアメリカでは空調システムやガスレンジなど、熱量を扱う様々な分野で用いられています。

英熱量の定義と種類

英熱量は、1ポンドの水の温度を華氏1度上げるのに必要な熱量として定義されます。これは、カロリーの定義をヤード・ポンド法に置き換えたものと言えます。ただし、水の比熱は温度によって変化するため、どの温度で定義するかによっていくつかの種類の英熱量が存在します。

Btu39°F (3.9℃): 39°F（約3.9℃）の水で定義される英熱量。
Btu60°F (15.6℃): 60°F（約15.6℃）の水で定義される英熱量。
BtuIT: 国際蒸気表に基づいた英熱量。

これらの英熱量の値は、およそ0.5%程度の範囲で異なります。

英熱量の単位換算

1英熱量は、他の単位に換算すると以下のようになります。

約252〜253カロリー
約778〜782フィートポンド（ft·lbf）
約1054〜1060ジュール
約0.293071ワットアワー（W·h）

また、天然ガスの場合、1百万Btuは0.021トンまたは25立方メートルに相当します。

英熱量の派生単位

英熱量には、以下のような派生単位も存在します。

英熱量毎時 (Btu/h)：1時間に1英熱量の仕事率を示す単位で、仕事率・工率の単位として用いられます。
1馬力は約2540 Btu/h
1ワットは約3.4 Btu/h
1000 Btu/hは約293 W
quad (quadrillion Btu)：10^15英熱量と定義される、非常に大きなエネルギー量を表す単位です。
1 quadは約1.055 × 10^18 ジュール
サーム：アメリカ合衆国と欧州連合で、10万英熱量をサームと定義しています。
* アメリカではBtu59°Fを使用、欧州ではBtuITを使用。

英熱量の使用例

英熱量は、特にアメリカにおいて空調システムの能力を表す単位として広く使われています。例えば、エアコンの能力はBtu/hで表示されることが一般的です。また、天然ガスの取引でも、MMBtu（百万英熱量）という単位が世界的に用いられています。これは、天然ガスの組成によってカロリー量が異なるため、取引の基準として統一された単位が必要とされるからです。

まとめ

英熱量（Btu）は、ヤード・ポンド法に基づくエネルギー単位であり、アメリカやイギリスを中心に広く利用されています。様々な定義や換算値、派生単位が存在し、それぞれの用途に応じて使い分けられています。空調システムや天然ガス取引など、エネルギー関連の分野で重要な役割を果たしている単位です。

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