茅野雅子

茅野 雅子

茅野雅子（ちのまさこ、1880年5月6日 - 1946年9月2日）は、大阪市で生まれた著名な歌人です。旧姓は増田で、夫はドイツ文学者であり詩人の茅野蕭々です。彼女の本名は「まさ」とされており、彼女の作品は日本の短歌文学において重要な位置を占めています。

経歴

雅子は1880年に大阪市道修町の薬種問屋「増田順血湯」の次女として誕生しました。相愛高等女学校に通うものの、中途で退学し、1900年には与謝野鉄幹が主宰する「新詩社」に参加。これにより、彼女は「明星」へ短歌を投稿し始めます。1904年には上京し、日本女子大学で学びながら、1905年には与謝野晶子、山川登美子とともに歌集『恋衣』を発表。これにより彼女は「明星派3才媛」として名を広めました。

雅子は与謝野晶子の「しら萩」や山川登美子の「しら百合」に対し、「しら梅の君」という通称で愛されました。この時期の彼女は、鉄幹から「明星」の清怨派と評されるなど、短歌の世界で大きな関心を集める存在となります。

1907年、東京帝国大学の独文科に在学していた茅野蕭々からの強い求婚を受け、雅子は親の反対を押し切って結婚を選びました。この決断には絶縁も覚悟し、多くの困難を乗り越えた彼女の強い意志が込められていました。結婚後は、短歌や随筆の執筆を続け、北原白秋や吉井勇、石川啄木とともに「スバル」という雑誌に参加しました。また、「青鞜」や「婦人之友」などで短歌や随筆を発表するなど、意欲的に活動を続けました。

1921年には日本女子大学の教授に就任し、その後も長い間教壇に立ち続けました。また、短歌会「春草会」や「茅花会」などを主宰し、若い歌人の育成にも力を入れました。

1946年、東京大空襲で被災した雅子は、夫が病死した4日後にこの世を去りました。彼女の死は、その生涯を通じた文学的活動の一区切りでもありました。

短歌

彼女の短歌は、その情感豊かな表現で知られています。例えば、以下の作品が挙げられます。

• - 我がこころ漸く火とも焰ともならむとすなり神も手（た）ふれそ
• - むづがりて張子の虎の耳を引く子のつぶらめにやはらかき風
• - 見かへれば死よりも更に難き路つまづきつつも君と来しかな

これらの作品には、彼女自身の感情や生きる喜び、日常の葛藤が色濃く反映されています。

著書

雅子の著作には、以下の作品があります。

• - 歌集『恋衣』（与謝野晶子、山川登美子と共著）
• - 歌集『金沙集』
• - 随筆集『朝の果實』（蕭々と共著）

関連人物

彼女の文壇での友人や恩師には、竹内薰兵がいたことが知られています。短歌界における彼女の影響力は、今なお多くの人々に語り継がれ、文学の世界での地位は揺るぎません。

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