茨城県立農科大学

茨城県立農科大学の歴史

茨城県立農科大学は1946年5月、茨城県稲敷郡阿見町の旧海軍航空隊跡地に設立されました。これは第二次世界大戦後の食糧不足を背景に、戦後の再建を目指す地元の代議士や企業家の尽力により実現しました。設立当初は"霞浦農科大学"という名称で、旧制私立大学としてスタートしました。

1949年に茨城県に移管され、名称が茨城県立農科大学に変更されました。この頃、農業経済や畜産などの学科が新設され、多くの学生が入学を許可されました。農科大学は公立大学としての性格を強め、1950年には新制の茨城県立農科大学として新たに認可され、農学部が設置されました。

経営の困難と県への移管

しかし、設立から数年後には財政状況が厳しくなり、1947年には経済の悪化に伴い財政が破綻状態に達しました。代議士・中井川浩の公職追放も影響し、大学運営は困難を極め、在京私立大学への売却が噂される中、1949年には学生多数が他校に転学。この状況を受け、財団法人は解散し大学は茨城県に移管されることになりました。

新制大学としての発展

1949年以降、新たに設立された新制茨城県立農科大学は、単科大学として改めて農学部の教育に特化しました。1950年には、国立移管の申請がなされ、1952年の3月にはその初回の卒業式が行われました。卒業生はわずか1期生で、その後、茨城大学農学部に統合されました。

学び舎の移行

もともと存在していた校地は、旧制霞浦農科大学の建物を引き継ぎ、現在でも茨城大学農学部が利用しています。旧海軍の施設などが学生寮として活用されるなど、創立当初の環境が保たれています。

歴代学長と教育の特長

旧制霞浦農科大学から新制茨城県立農科大学、そして茨城大学農学部への移り変わりの中で、多くの学長がそれぞれの時期に大学の指導にあたりました。教育には農学だけでなく、畜産といった専攻も含まれ、多岐にわたる専門知識を学生に提供しました。このように茨城県立農科大学は、短命であったにもかかわらず、地域の農業と食料問題に対する重要な役割を担っていたことがわかります。

茨城県立農科大学が終焉を迎えた後も、その精神は茨城大学農学部として受け継がれ、現在も教育や研究活動に貢献しています。学府の歴史は、地域復興の一端を担った文脈においても大変意義深いものです。

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