茶屋町MBS劇場

番組概要

「茶屋町MBS劇場」は、毎日放送（MBSラジオ）がプロ野球ナイターオフ期間（毎年10月から翌年3月頃）限定で、2008年度から2016年度まで放送した演芸番組です。主に上方落語の音源を中心に構成され、リスナーに寄席の雰囲気を届けました。番組の進行役は、当時毎日放送アナウンサーの柏木宏之が担当しました。放送日や時間はシーズンによって変動がありました。

本番組は、その企画が派生して通年番組が生まれたり、後にコンプレックス形式の生ワイド番組に内包されたりするなど、MBSラジオにおける演芸・文化番組シリーズの中核を担う存在でした。

番組構成とコーナー

番組はいくつかのパートで構成されるスタイルを取りました。

初期（2008年度 - 2010年度）: 番組前半を「MBS1179寄席」、後半を「茶屋町放送文化館」または映画紹介コーナー（後の『MBS土曜（日曜）映画館』）とする2部構成でした。
後期（2011年度以降）: 番組を3部構成とし、前半と後半で「MBS1179寄席」を放送。中盤に「茶屋町柏木亭」を挟む形式が中心となりました。

番組の大きな特徴は、「MBS1179寄席」で落語の音源をノーカットで放送した点にあり、これにより各パートの放送時間は週によって大きく変動しました。落語が長い場合は「MBS1179寄席」が多くの時間を占めたり、「茶屋町柏木亭」が2本立てになることもありました。

MBS1179寄席

番組タイトルの「1179」は、MBSラジオのAM周波数から取られています。ワイドFMが開始された後もこのタイトルは維持されました。

このコーナーでは、毎日放送が保管する過去のテレビ・ラジオ演芸番組のアーカイブ音源（『特選!米朝落語全集』や『ザ・上方寄席』など）や、ごく初期には新規収録した音源から、上方落語の演目を紹介しました。登場する落語家は故人から名人、中堅・ベテランまで多岐にわたりますが、特に桂米朝師匠や米朝事務所所属の一門の音源が多く用いられました。他の流派の音源が放送される機会は限定的でした。

落語音源はノーカットで流されたため、1時間枠や2時間半枠の放送時には、1時間を超えるような大ネタや長編のネタが丸々1本放送されることもありました。柏木アナウンサーは、演目開始時に演者やネタ、収録情報などを詳しく紹介しましたが、終了時のアナウンスは番組のエンディングでまとめて行われました。

また、時間が余った際には、落語家が歌ったユニークな楽曲（桂雀三郎 withまんぷくブラザーズの『ヨーデル食べ放題』など）が流されることもありました。MBSラジオでは過去にも同名の番組や企画が存在し、特別番組『MBS1179ミッドナイト寄席』が放送されたこともあります。

茶屋町柏木亭

「MBS1179寄席」のネタが比較的短い場合に設けられたコーナーです。主に上方落語家をゲストに招き、柏木アナウンサーとの対談形式で進行しました。対談ではゲストの落語家が同期生について語る場面が多く見られました。プロ野球中継の延長や、ナイターオフ期間中に編成される他の特別番組（『GI最前線ジョッキー★ナイト』など）の影響で、このコーナーの放送機会は限られることもありました。

茶屋町放送文化館

『MBS日曜映画館』が独立番組となった2011年度以降に、後半パートで不定期に放送されました。毎日放送がかつて千里丘放送センターに設けていた「放送文化館」に由来するコーナー名です。MBSが所蔵する過去のラジオ番組音源の一部や、人気テレビ番組の主題歌などを紹介しました。この企画は後に『MBSマンデースペシャル』や深夜の音楽番組『Till Dawn Music』などに引き継がれていきました。

元日特別番組

「茶屋町MBS劇場」は、毎年1月1日に長時間の特別番組を編成する慣例がありました。2011年には初の試みとして「元日興行」と銘打ち、4時間の拡大版を放送。落語だけでなく、ラジオドラマや音楽企画も交えた豪華な内容となりました。以来、毎年元日に長時間特番が組まれましたが、曜日によって放送時間や形式が変化することもありました。

レギュラー放送が終了した2016年度以降も、この元日特番は「新春興行」「Mラジ新春寄席」と名称を変えながら単独番組として継続されています。初期は柏木宏之アナウンサーが進行を務めましたが、2023年からは「鉄道・旅」をテーマとした構成となり、鉄道ファンとして知られる馬野雅行アナウンサーが「席亭」（進行役）に就任しました。2025年の放送では、番組に出演経験のある落語家・桂米紫がパーソナリティを務めるなど、新しい試みも行われています。

派生・関連番組

MBS日曜映画館 → 茶屋町MBSシネマ

「茶屋町MBS劇場」の後半コーナーだった映画紹介パートが独立し、2011年4月から通年番組として放送されたのが『MBS日曜映画館』です。後に『茶屋町MBSシネマ』と改題し、放送時間も変更されました。フリーアナウンサーの森川みどりが「シネマコミュニケーター」として、MBSラジオのプロデューサー（当時）・堀田到と共に、公開中の映画情報などを紹介しました。インタビューやサウンドトラック紹介なども行われましたが、2017年9月をもって独立番組としての放送を終了しました。

おわらナイト

2017年10月から2021年10月にかけて放送された金曜深夜（土曜未明）の生ワイド番組です。「金曜の夜は終わらない、笑いを、素晴らしい時間を！」というメッセージを掲げ、『茶屋町MBS劇場』『茶屋町MBSシネマ』、そして音楽番組『伊東正治のミュージック・バル』を統合する形で始まりました。番組ナビゲーターは当初、元MBSアナウンサーでフリーの伊東正治。末期は西田愛が務めました。

この番組では、過去の番組から引き継いだコーナーとして、落語を紹介する「おわらナイト茶屋町MBS寄席」と、映画情報コーナー「おわらナイトモーニングシアター」を事前収録の形で内包しました。しかし、これらの内包コーナーは比較的早い段階で終了し、その後は音楽、リスナーからのメッセージ紹介、独自の企画（「JAZZのお時間」など）が中心となりました。タイトルは「Oh, What A Night!」の発音と「金曜の夜は終わらない」というメッセージを掛け合わせた造語です。ナイトゲーム延長時の放送時間短縮など、生ワイドならではの対応も見られました。

「茶屋町MBS劇場」とその派生・内包番組は、MBSラジオにおける演芸・文化・映画情報発信の一翼を担い、ナイターオフ期間を中心に多くのリスナーに親しまれました。

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