茶摘み

茶摘み

「茶摘み」（ちゃつみ）は、日本の唱歌で、文部省唱歌の一つです。作詞作曲は不詳で、オリジナルの曲名は「茶摘」です。小学校では「摘」の字を習わないため、教科書では「茶つみ」と表記されています。

概要

この歌は、初夏に見られる茶摘みの光景を歌ったものです。1912年（明治45年）に刊行された『尋常小学唱歌 第三学年用』が初出で、2007年には「日本の歌百選」に選定されました。

また、子どもたちが2人組で向かい合って行う手遊び歌としても親しまれています。「せっせっせーのよいよいよい」で始まる手遊びは、茶葉を摘む手つきを模倣したものと言われています。

グレッグ・アーウィンによる英訳詞「Picking Tea Leaves」も存在し、彼の歌唱でアルバムに収録されています。

歌詞の由来

1番と2番の歌詞は、京都府綴喜郡宇治田原村（現在の宇治田原町）に伝わる茶摘み歌が元になっているという説があります。具体的には、「向こうに見えるは茶摘みじゃないか。あかねだすきに菅の笠」、「お茶を摘め摘め摘まねばならぬ。摘まにゃ田原の茶にならぬ」という歌詞が、その影響を受けていると言われています。

しかし、宇治田原町に伝承・記録されている茶摘み歌には、これらの歌詞は見当たらないという説もあり、歌詞の正確な由来は未だ不明です。

各地の茶摘み歌

宇治周辺の地域には、唱歌の歌詞と類似した茶摘み歌が伝承されています。

京都府宇治市: 「あれに見えるは茶摘みぢゃないか 茜襷に菅の傘」
京都府相楽郡和束町: 「お茶を摘め摘め摘まねばならぬ 摘まにゃ和束の茶にならぬ」
奈良県奈良市: 「摘まにゃ田原の茶にならぬ」
滋賀県大津市:「摘まにゃ日本の茶にならぬ」

これらの歌から、茶摘みの風景や、地域ごとの茶に対する誇りが感じられます。

茜襷に菅の笠

茶摘みの際には、茜色の襷を掛けて作業を行います。茜は止血剤としても知られており、素手で作業を行う茶摘みで怪我をしやすい指先の保護のため、茜の成分を擦り込みながら作業を継続するという、先人の知恵がこの装束には込められています。

編曲

「茶摘み」は様々な編曲がされています。

茶々摘み、茶摘み: 川田千春編曲。『おもしろ変奏曲にアレンジ! 〜童謡唱歌〜』に掲載。
国際茶摘みフェスティバル: 春畑セロリ編曲。『おもしろ変奏曲にアレンジ! 〜日本のうた〜』に掲載。

替え歌

「茶摘み」は、替え歌としても親しまれています。

1976年から放送されたテレビ番組『ヒット'76〜'79』では、「茶摘み」の替え歌がテーマソングとして使われました。
2002年に発売されたシングル『お茶犬のうた』のカップリングには、「茶摘み」の替え歌『お茶っ茶お茶犬』が収録され、2003年にはアニメ「お茶犬」のエンディングテーマとして起用されました。

脚注

参考文献

『尋常小學校で歌われた唱歌』（ポニーキャニオン、PCCG-00635）
宇治田原町教育委員会編『宇治田原町史第1巻』
宇治市文化財愛護協会編『宇治地方の民謡』
金田一春彦編『日本の唱歌（上）明治篇』 講談社、1975年

関連項目

八十八夜
童歌
夫婦道 - 2007・2009年にTBS系列で放送された連続ドラマ。主人公の子及び飼い犬の役名が同曲1番の歌詞にちなんで付けられています。
入間市駅 - 2016年4月16日から発車メロディに採用されています。

外部リンク

茶摘み - YouTube （歌：山野さと子）
宇治田原町

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