草刈十字軍

草刈り十字軍

草刈り十字軍（くさかりじゅうじぐん）とは、環境保護活動、およびそれを題材とした映画の名称です。この活動は、森林の健全な育成を目的として、人力で草刈りを行うものでした。

草刈り十字軍の概要

林業における造林作業では、植えられた木が雑草に覆われて成長を妨げられないよう、定期的な下刈り（草刈り）が必要です。この作業は、特に夏場には重労働となるため、1970年代には除草剤の使用が一般的でした。

1973年、富山県大山町（現富山市）の植林地で、ヘリコプターによる除草剤散布が計画されました。これに対し、環境への影響を懸念した足立原貫（当時、富山県立技術短大教師）が、全国の学生にボランティアを呼びかけ、1974年の夏から人力による草刈り活動を開始しました。

数日間の合宿形式で行われたこの草刈り活動は、参加した学生たちの環境保護意識を高め、その活動は全国各地へと広がりました。この活動は、除草剤散布に反対するだけでなく、その代替案として、手作業による草刈りの困難さを体験する場としての側面も持ちました。活動開始から30年を経ても、数十名もの参加者を集めることができました。

2015年までに、全国から延べ4,210人が参加し、延べ1,864ヘクタールの草刈りが行われました。しかし、参加者数の減少、若者の参加者減少などの理由から、2016年8月をもって43年の歴史に幕を閉じました。2016年9月17日には、射水市で活動の修了式が行われ、創始者の足立原は、「世代間の違いを学び合う場であった。参加者それぞれが次の段階に進むことが大切だ」と活動を締めくくりました。なお、2017年8月23日と24日には、元参加者の有志10名によって限定的な復活が行われています。

除草剤散布のその後

森林への除草剤散布は、薬剤による環境への影響への懸念や、木材価格の低迷などの理由により、1970年代後半以降、大規模な草刈り作業自体が行われなくなりました。

映画化

1997年には、「草刈り十字軍」というタイトルで映画化されました。監督は吉田一夫、主演は加藤剛です。

スタッフ

映画の主なスタッフは以下の通りです。

監督: 吉田一夫
脚本: 吉田一夫
原作: 足立原貫、野口伸、農業開発技術者協会編
企画: 木下恵介
製作: 安部雍子
プロデューサー: 小元広悦、池永安秀、古賀伸雄
撮影: 岸本正広
美術: 大橋豊一
音楽: 平松良太
音楽コーディネート: 阿部郷子
主題歌: 「めぐり逢い」石嶺聡子
録音: 塚本達郎
効果: 渡部健一、北田雅也
照明: 奥村誠
編集: 村山勇二
衣裳: 二宮義夫、網野純子
助監督: 渡辺容大
スクリプター: 杉山昌子
スチール: 池端滋、鶴見正俊

キャスト

主な出演者と役名は以下の通りです。

加藤剛 - 足立原貫
香野百合子 - 足立原よし子
上澤津孝 - 前田喜芳
櫻井淳子 - 遠藤幸江
巻島康一 - 野口進
田中徹 - 森幸英
須田真魚 - 津村成一郎
上福更記 - 木藤和博
長江英和 - 此口幸二
河内桃子 - 安部葉子
塩山誠司 - 岡田隆史
安田博美 - 山崎圭子
志村要 - 石村隆
石田大 - 酒井秀範
西川竜太郎 - 嶋田清造
元気安 - 岡本稔
斎藤暁 - 大橋
林竜之介 - 山浦
加藤大治郎 - 吉野
河内浩 - 宮川
関野吉記 - 健次
原田清人 - 造林公団富山出張所所長
森一 - 大山町役場農林課課長
河野正明 - 増井主任
荘司肇 - 内藤課長
各務理樹 - 山崎
中吉卓郎 - 農薬メイカーの技師
滝田裕介 - 語り手

参考文献

“草刈り十字軍”. KINENOTE. キネマ旬報社. 2022年11月10日閲覧。

外部リンク

草刈り十字軍 - allcinema
草刈り十字軍 - KINENOTE

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