草原の輝き (ジャッキー吉川とブルー・コメッツの曲)

「草原の輝き」（そうげんのかがやき、英題:Summer Grass）は、日本を代表するグループ・サウンズ、ジャッキー吉川とブルー・コメッツが1968年6月30日に世に送り出したシングル楽曲です。この曲の作詞は橋本淳、作曲は井上忠夫が手がけ、当時、新進気鋭の作・編曲家として注目を集めていた筒美京平が編曲を担当しました。

このシングルは、結果的にCBSレーベルからリリースされたブルー・コメッツ最後の作品となりました。しかし、その後、グループが一度CBS・ソニーレコードへ移籍し、短期間のうちに再びコロムビアへ復帰するという異例の経緯をたどったため、同じ時期に「COLUMBIA」レーベル（いわゆるL盤）からも、アレンジの異なる「アナザー・ヴァージョン」を収録したシングルが発売されています。こちらのシングルは1968年9月1日にリリースされ、レコード番号も最初のシングル（LL-10060-JC）とは異なる番号（LL-10068-J）が付与されていました。ジャケット写真はレーベル表記を除けば、両方のシングルで全く同じものが使用されています。

二つのヴァージョンは、サウンド面で明確な違いが見られます。オリジナル・ヴァージョンは、楽曲の始まりにティンパニーとチェンバロの音が印象的に使われ、全体を通してストリングスのサウンドが強調された仕上がりとなっています。一方、アナザー・ヴァージョンは、シンバルとドラムの音で幕を開け、よりバンド自身による演奏が前面に出たアレンジが特徴です。また、シングルのカップリング曲である「マイ・サマー・ガール」（英題:My Summer Girl）についても、それぞれ異なるアレンジが施されています。オリジナル・ヴァージョンではサビの部分でバックコーラスが際立つ一方、アナザー・ヴァージョンではオルガンの音が強調されています。

興味深いことに、1990年代に多数リリースされたグループ・サウンズのコンピレーションCDには、なぜかアナザー・ヴァージョンの方がしばしば収録されていました。オリジナル・ヴァージョンが初めてCDに収録されたのは、2000年に発売されたアルバム『ブルー・コメッツ パスト・マスターズ 1965-1972』でのことです。このCD化を機に、それ以降に発売された様々なコンピレーションCDでは、オリジナル・ヴァージョンが採用される傾向が見られるようになりました。

この楽曲は、1968年の『第19回NHK紅白歌合戦』において、ジャッキー吉川とブルー・コメッツが出場した際の歌唱曲として選ばれました。同時に、この出演がグループにとって最後の紅白歌合戦出場となりました。過去2回の出場時（第17回・第18回）は、基本的にバンドメンバーのみでの演奏でしたが、第19回では、レコード音源のようにグループ自身の演奏に加え、オーケストラによる弦楽器演奏を重ねるという試みが行われました。

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