草地功

草地功：日本の鉱物学・地球化学を牽引した研究者と教育者

草地功（くさち いさお）氏は、1942年岡山県生まれの日本の地球[[科学者]]です。専門は鉱物学と地球化学で、広島大学より理学博士号を取得しています。その研究活動は、日本の鉱物学、ひいては地球科学の発展に多大な貢献を果たしました。

高温型スカルン研究と新鉱物発見

草地氏の研究は、高温型スカルン鉱物学に焦点を当てています。スカルンとは、異なる種類の岩石が接触変成作用によって生み出された鉱物集合体のことです。特に高温型スカルンは、高温で形成されるため、珍しい鉱物が発見される可能性が高く、草地氏の研究対象として最適でした。

その研究活動の中で、草地氏は9種類もの新鉱物の発見に貢献しました。具体的には、備中石、布賀石、大江石、単斜トベルモリー石、森本柘榴石、武田石、パラシベリア石、沼野石、島崎石などです。これらの発見は、日本の鉱物学研究における大きな成果であり、世界中の研究者から高い評価を受けています。さらに、大阪石の発見にも関与するなど、新鉱物発見への貢献は計り知れません。

1995年には、岡山県で発見された新鉱物が「草地鉱（kusachiite）」と命名されるという栄誉に浴しました。これは、草地氏の研究業績が国際的に認められた証であり、その名を後世に伝える大きな出来事となりました。

教育者としての草地功

研究活動に加え、草地氏は教育者としても長年にわたり活躍しました。岡山県立福渡高等学校教諭、岡山大学教育学部助手、講師、助[[教授]]、教授などを歴任し、多くの学生を育成しました。1999年から2002年にかけては、岡山大学教育学部附属中学校校長を務め、教育現場においても指導力を発揮しました。

また、兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科教授を併任するなど、教育機関への貢献も大きく、後進の育成にも尽力しました。岡山大学教育学部では副学部長も務め、学部運営にも深く関与しました。2008年に岡山大学を定年退職後も、国立科学博物館地学研究部客員研究員として研究活動を継続しています。

受賞歴

草地氏の研究業績は高く評価され、数々の賞を受賞しています。主な受賞歴としては、1973年の日本鉱物学会奨励賞、1983年の櫻井記念会櫻井賞、1995年の岡山市文化奨励賞（学術部門）、そして2005年の日本鉱物学会賞（「高温型スカルンの記載鉱物学的研究」）などがあります。これらの受賞は、草地氏の研究の質の高さを示すものであり、その功績は広く認められています。

まとめ

草地功氏は、新鉱物発見への貢献、教育者としての指導力、そして数々の受賞歴などを通して、日本の鉱物学・地球化学の発展に大きく貢献しました。その生涯は、研究者として、教育者として、そして日本の科学界を支える重要な人物としての輝かしい軌跡を示しています。今後の研究活動にも期待が高まります。

参考文献

沼野忠之 著「世界で初めて発見された新鉱物の数々」、倉敷の自然をまもる会編 編『自然への想い 岡山 - 昔を探り、今を見つめて』山陽新聞社、1993年
草地功編『論文集I 布賀及び久代に産する高温型スカルンに関する論文』和光出版、2008年

もう一度検索