森本柘榴石

森本柘榴石：岡山県で発見された希少な鉱物

森本[柘榴石]は、1995年に岡山県高梁市の布賀鉱山で発見された、日本産の新鉱物です。岡山大学の逸見千代子氏らの研究グループによって、石灰岩脈を切る貫入岩体から産出するスカルン鉱床の中で発見されました。この鉱物は、その特異な化学組成と結晶構造から、鉱物学において重要な発見として注目されています。

特徴的な性質

森本柘榴石は、黒色でダイヤモンドのような輝きを持つ結晶として産出します。モース硬度は7.5と高く、比重は3.75です。結晶系は等軸晶系に属し、その化学組成式はCa3TiFe+2Si3O12と表されます。これは、柘榴石グループに属する鉱物ですが、他の柘榴石とは異なる独自の組成を持っています。

特に、灰[鉄]]柘榴石]3)と類似した組成を持つものの、2つの三価[鉄イオン(Fe3+)が二価鉄イオン(Fe2+)とチタン]に置換している点が大きく異なります。また、[[チタン柘榴石とも呼ばれるショーロマイト(Schorlomite, Ca3Ti2(SiFe3+2)O12)と非常に似た性質を持つため、両者の判別には精密な科学的分析が必要となります。ショーロマイトとの違いは、チタンの一つが二価鉄イオンに、三価鉄イオンがケイ素に置換している点です。

命名の由来

森本柘榴石という名前は、大阪大学の森本信男教授の鉱物学への貢献を称えて命名されました。森本教授は日本の鉱物学研究において多大な功績を残しており、その業績を記念してこの新鉱物が命名されたことは、鉱物学における重要な出来事の一つと言えるでしょう。

人工合成

森本柘榴石は、自然界だけでなく、人工的に合成することも可能です。発見者である逸見氏らの研究グループは、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、アントラセンなどの試薬を用いて、森本柘榴石の合成実験に成功しています。この人工合成は、森本柘榴石の性質解明や、更なる研究開発に役立つと考えられています。

まとめ

森本柘榴石は、その希少性、独特の化学組成、そして命名の由来などから、鉱物学上非常に興味深い鉱物です。今後の研究によって、その生成メカニズムや、地質学的な意義などが更に解明されていくことが期待されます。日本産の新鉱物として、その発見は日本の鉱物学研究における重要な貢献であり、今後もその研究は続けられていくことでしょう。

もう一度検索