草屋

スタジオジブリ「草屋」：雑草の屋根が印象的な事務所

東京都武蔵野市に位置する「草屋」は、スタジオジブリ作品に携わる様々な部署や関連会社が入居する事務所ビルです。2002年4月の竣工以来、その独特な外観で注目を集めています。

この建物の最大の特徴は、なんといっても屋根を覆い尽くす緑でしょう。福島県の休耕田で育成された在来種の雑草と野芝が、一面に広がっています。まるで自然の一部がそのまま建物の屋根になったかのような、他にはない景観です。

設計を手掛けたのは、山田建築研究所。設計者の山田達也氏は、当初、宮崎駿監督からの「雑草の屋根」という注文に難色を示したと言われています。雑草を用いた屋根は、排水や耐久性といった点で多くの課題を抱えていました。しかし、山田氏は数々の工夫を凝らし、それらの問題点を克服。見事、監督の意向を反映した、環境にも配慮した建物を完成させました。

木造2階建ての建物は、大断面集成材工法を用いて建てられています。これは、木材を効率的に使用し、強度の高い構造を実現する工法です。環境への配慮と、ジブリ作品の世界観を反映した、温かみのある空間を作り上げていると言えるでしょう。

草屋に入居しているのは、スタジオジブリの商品企画部やイベント事業室などの部署の他に、株式会社二馬力、株式会社マンマユート団、財団法人徳間記念アニメーション文化財団分室など、ジブリ作品制作に深く関わる様々な企業や団体です。これらの組織が一つの建物に集まることで、制作における連携強化や情報共有の促進に繋がっていると考えられます。

その独特なデザインと、スタジオジブリという名前にふさわしい環境への配慮が評価され、武蔵野市の広報誌において「ナイスな建物」1位に選出された実績も持っています。

草屋は、単なる事務所ビルという枠を超え、ジブリ作品の世界観を現実世界に反映した、象徴的な建築物と言えるでしょう。雑草の屋根が醸し出す、独特の雰囲気と、そこに集う人々の創造性によって、これからもスタジオジブリ作品を支え続ける重要な拠点であり続けることでしょう。

入居団体：

スタジオジブリ商品企画部
スタジオジブリイベント事業室
株式会社二馬力
株式会社マンマユート団
* 財団法人徳間記念アニメーション文化財団分室

設計： 山田建築研究所

所在地： 東京都武蔵野市御殿山2-13-11

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