二馬力

株式会社二馬力：宮崎駿氏とスタジオジブリに繋がる独立系アニメーション制作会社

株式会社二馬力は、日本のアニメーション界において独特の存在感を放つ企業でした。その歴史は、1984年、あの宮崎駿氏によって設立された個人事務所に遡ります。社名は、宮崎氏の愛車であったシトロエン・2CV（通称「二馬力」）に由来しており、その愛称から、自由奔放で個性的な社風を想像させる名前と言えるでしょう。

当初の目的は、宮崎氏がスタジオジブリを離れ、仲間たちと共に自由にアニメーション制作を行うことでした。そのため、設立当初は、年配のアニメーターが集まる、アットホームな雰囲気の職場だったと想像できます。実際、スタジオぴえろ退社後フリーとして活躍していた押井守氏も、一時期二馬力に滞在していたというエピソードが残っています。

設立当初は杉並区に事務所を構えていましたが、1997年には株式会社として改めて設立され、1998年には小金井市、スタジオジブリの近隣に「豚屋」という個人事務所兼アトリエを建設、移転しました。この「豚屋」は、宮崎氏の創作活動の拠点として重要な役割を果たしていたことでしょう。

二馬力の活動は、著作権管理が中心でした。特に、宮崎駿監督作品をはじめとした版権管理を主な業務としており、その収益を基に、1987年には『柳川堀割物語』という作品を制作しています。これは、映画『風の谷のナウシカ』の大ヒットによる版権収入を元に実現したプロジェクトだったと考えられます。この作品は、スタジオジブリ作品とは異なる、二馬力独自の取り組みとして注目に値します。

しかし、2004年には、当初の個人事務所を株式会社二馬力に吸収合併し、より組織的な運営体制へ移行しました。この合併によって、二馬力の活動は、より効率的で、組織的なものになったと言えるでしょう。

そして2016年、株式会社二馬力は、スタジオジブリとの合併という大きな転換点を迎えます。同年2月25日に開催された株主総会において、スタジオジブリへの吸収合併が決定され、同年4月1日付で解散しました。これは、宮崎駿氏とスタジオジブリとの深い繋がりを示す出来事であり、同時に、二馬力の歴史に幕を閉じる出来事となりました。

株式会社二馬力は、その短い歴史の中で、宮崎駿氏の独立した創作活動の拠点として、そしてスタジオジブリとは異なる独自のアニメーション制作や著作権管理を行う会社として、日本のアニメーション業界に貢献しました。その歴史は、宮崎駿氏という巨匠の軌跡と、日本のアニメーションの歴史の一部として、これからも語り継がれていくことでしょう。

二馬力の設立から解散までの道のりは、宮崎駿氏の創作活動や、日本のアニメーション業界の変遷を理解する上で、非常に重要な要素となっています。その歴史と活動は、今後アニメーション史を研究する上で重要な資料となるでしょう。

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