草薙裕

草薙 裕 - 言語学者としての軌跡

草薙裕（くさなぎ ゆたか、1936年4月28日 - 2024年9月11日）は、日本の著名な言語学者であり、日本語教育や計算言語学の分野において多くの業績を残しました。筑波大学の名誉教授であった彼は、日本語と異文化について深い理解を持つ教育者として広く知られています。

経歴

草薙は1936年、台湾の台北に生まれました。彼の幼少期は台湾で過ごし、異なる言語や文化に触れることで自然に言語に関する感受性を育みました。戦後、日本に引き揚げた後は、言語や文化に対する興味が確固たるものとなります。中学では国文法に対してはそれほど魅力を感じなかったものの、英語を独学で学ぶ中で言語への興味が増していきました。

1960年には上智大学外国語学部英語学科を卒業し、その後英字新聞の記者としてキャリアをスタートさせます。渡米後、ジョージタウン大学で言語学を学び、1970年にはPh.D.を取得しました。帰国後は、ジョージタウン大学やハワイ大学で講師を務め、筑波大学では助教授から教授に昇進。さらに筑波女子大学（現・筑波学院大学）では学長としても活躍しました。

研究業績

筑波大学では、日本語文法の形式化に関する研究を主題としました。特に、国立大学として初めて日本語教師の養成を目的とした日本語・日本文化学類の設立に寄与し、その初代学類長を歴任しました。のちに、草薙に教えを受けた研究者たちは彼の退官に際し、彼の教えの成果をまとめた論文集『現代日本語の語彙・文法』を編集しました。これは、彼の教育理念や研究方法が引き継がれる形となりました。

著作活動

草薙は膨大な著作を残し、言語学に関する知識の普及に寄与しました。単著としては『コンピュータ言語学入門』や『パーソナルコンピュータによる自然言語処理』といった専門書があり、それぞれが計算言語学の分野で多くの人に影響を与えました。また『日本語はおもしろい』という著書では、日本語の魅力を余すところなく伝え、多くの学びを提供しました。

彼はまた編集者としても活躍し、『現代日本語の語彙・文法』を世に送り出しました。この書籍は、日本語学習者や研究者にとって貴重なリソースとなっています。さらに、共著として『朝倉日本語新講座』シリーズを執筆し、言語教育における重要な側面を探求しました。

最後に

2024年9月11日に草薙裕はその生涯を閉じましたが、彼が残した業績や教育理念は今も多くの研究者や学生に受け継がれています。彼の影響は日本語研究の進展だけでなく、国際的な言語教育の場でも感じられ、多くの人々にとって忘れられない存在となっています。

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