荏子田横穴

荏子田横穴について

荏子田横穴（えこだおうけつ）は、神奈川県横浜市青葉区荏子田一丁目に位置する2基の横穴墓であり、横浜市指定の史跡です。この場所は一般に「かんかん穴」として知られ、歴史的にも価値の高い文化財です。

地理的特性

この横穴墓は、鶴見川の支流である早渕川の上流、右岸にあり、約45メートルの標高を持つ丘陵の南側に存在しています。特にこの地域は「船頭谷」と呼ばれる谷戸地にあたり、基盤層の上総層群に掘り込まれています。荏子田横穴は、周囲の自然と歴史的な背景が深く結びついている場所です。

墓の構造

荏子田横穴には、1号墓と2号墓の二つの横穴があり、1928年（昭和3年）に発見された後、1956年（昭和31年）には本格的な発掘調査が行われました。特に1号墓はその独特な形状から特筆に値します。玄室は切妻造屋根を模した形状をしており、内装には柱や棟木、桁の素晴らしい浮き彫りが施されています。こうした家型の玄室は、鶴見川流域に点在する横穴墓の中でも非常に珍しいスタイルであり、地域の有力者の墓として、7世紀前半に造られたと考えられています。

このような家形玄室を有する横穴墓は、周辺地域では東京都町田市の下三輪玉田谷戸横穴墓群の1号墓や3号墓が知られています。

2号墓については、1号墓の羨門の前面右上に位置しており、相対的に小型で丸みを帯びた楕円形をしています。また、天井部はドーム型の構造をしており、通常、こちらは1号墓よりも新しい7世紀後半に造られたと推定されています。

歴史的な意義

1993年（平成5年）11月1日に、荏子田横穴は横浜市の指定史跡に認定され、現在は荏子田朝日公園として整備・保存されています。この公園内では横穴が守られていますが、天井が崩落する危険もあるため、見学は柵で囲まれた外から行う必要があります。内部には立ち入ることはできず、保存のための厳格な管理が行われています。

荏子田横穴は、古墳時代の日本における墓制度や当時の人々の生活様式、信仰などを知る上で欠かせない存在となっています。踏み入れることはできませんが、その歴史と文化に触れることができる貴重な場所として多くの人々が訪れています。

参考文献

• - 横浜市教育委員会の文化財関係資料を基にした、荏子田横穴に関する情報が豊富に記述されています。特に『横浜市指定・登録文化財編 横濱の文化財』において詳しい記述が見られます。

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