荒井悦加

荒井 悦加

荒井 悦加（あらい よしか、旧姓辰巳、1982年2月26日 - ）は、日本の元陸上競技選手。主に3000メートル障害を専門種目として、国際大会での優勝や国内選手権での連覇を果たすなど、この種目における日本女子のパイオニア的存在として活躍しました。

島根県の松江市立第一中学校、島根県立松江北高等学校を経て島根大学教育学部を卒業。学生時代から陸上競技に取り組み、卒業後も競技を続けました。実業団では、スターツ、ノーリツ、エディオンといった複数のチームに所属し、競技キャリアを積み重ねました。現在はSMTCに所属しています。

競技経歴

競技者としてのキャリアが本格化するのは大学卒業後、実業団に籍を置いてからです。特に2007年は飛躍の年となりました。

2007年
2月には千葉国際クロスカントリー選手権の一般女子6キロで8位に入賞。この実績が評価され、ヨルダンで開催されたアジアクロスカントリー選手権の日本代表に初めて選出されました。
6月に出場した第91回日本陸上競技選手権大会では、専門種目である3000メートル障害で準優勝を果たします。この日本選手権での好成績により、同年の第11回世界陸上競技選手権大会の日本代表に選ばれ、世界の大舞台に立つチャンスを得ました。
しかし、初めての世界選手権本番では不運に見舞われます。レース序盤、1周目の水濠で後続の選手と接触し転倒。さらに2回目の水濠でも再び転倒するなど、レースをスムーズに進めることができず、予選で敗退するという悔しい結果に終わりました。

世界選手権後の2007年9月、ノーリツ女子陸上部に入社。かつて指導を受けた上野敬裕監督と共に新たな環境で再スタートを切ります。しかし、ノーリツには短期間の在籍となり、2008年には退社しました。

2009年
2009年4月、デオデオ女子陸上部（現エディオン女子陸上競技部）に移籍。
同年11月、中国・広州で開催された第18回アジア陸上競技選手権大会の女子3000メートル障害に出場。この大会で強豪選手を抑えて見事優勝を飾りました。これは、アジア選手権のこの種目において、日本人女子選手として史上初の快挙であり、荒井選手のキャリアにおける最大のハイライトの一つとなりました。

国内での頂点へ
アジア女王となった後も国内での強さを見せつけます。2012年6月、第96回日本選手権の女子3000メートル障害で待望の初優勝を達成。前年の覇者を破ってのタイトル獲得でした。
翌2013年6月の第97回日本選手権でも、他を寄せ付けない力強いレース運びで二連覇を果たし、この種目における国内での確固たる地位を築きました。
同年7月、インド・プネーで行われた第20回アジア選手権にも出場し、連覇は逃したものの4位に入賞し、再び国際大会で存在感を示しました。

2014年にエディオンを退社した後、現在はSMTCに所属して競技活動を続けています。

自己記録

荒井選手は3000メートル障害以外にも、中距離種目で高い記録を残しています。

1500m：4分18秒01（2006年9月30日）
3000m：9分17秒9（2009年9月19日）
5000m：15分49秒45（2006年10月1日）
* 3000m障害：9分53秒87（2009年6月6日、当時の日本歴代2位）

特に3000メートル障害で記録した9分53秒87は、日本歴代でも上位に位置する素晴らしい記録であり、長年にわたり日本記録に迫るレベルで安定した力を示しました。

人物・その他

趣味はカフェでお茶をすること。競技生活の緊張から解放されるひとときを大切にしていたようです。その真摯な競技姿勢と、日本人女子として新たな扉を開いた実績は、後進の選手たちに大きな影響を与えました。

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