荒井駅 (宮城県)

仙台市地下鉄東西線 荒井駅：本州最東の駅と震災の記憶

仙台市若林区に位置する仙台市地下鉄東西線の荒井駅は、2015年12月6日に開業した、本州最東端に位置する地下鉄駅です。駅番号はT13。2025年3月31日までは副駅名として「大成ハウジング本店前」の名称も使用されていました。単なる交通拠点以上の役割を担い、歴史的背景や地域との繋がり、そして未来への展望を併せ持つ、魅力的な駅です。

開業までの道のり：震災からの復興

荒井駅の建設は、2009年に着工。しかし、2011年3月11日に発生した東日本大震災により、駅舎建設予定地は甚大な被害を受け、仙台市地下鉄全線の工事が一時中断されました。この経験を踏まえ、駅舎のデザインは防災性と安全性を考慮して設計されました。2012年には駅舎デザインが公表され、幾多の困難を乗り越え、2015年12月6日についに開業を迎えます。開業に際しては、東日本大震災の教訓を未来へ繋ぐ取り組みも行われました。

駅舎：震災メモリアルと地域共生

地上3階建て地下1階建ての駅舎は、延べ床面積6,150㎡。改札口とコンコースは地上1階に、ホームは地下1階にあります。地上駅舎を持つのは、東西線では荒井駅と国際センター駅の2駅のみという特徴があります。

駅舎内には、「せんだい3.11メモリアル交流館」が設置されています。1階には交流スペース、2階には展示室とスタジオ、3階には屋上庭園があり、東日本大震災の仙台市内の被害状況を後世に伝え、震災の記憶を風化させない取り組みがなされています。また、2016年4月には、駅舎2階に「荒井マーヤ保育園」が開園し、地域住民にとっての利便性向上にも貢献しています。

駅南側には、バスプールを備えた駅前広場があり、利便性の高い設計がされています。駅前広場には、京都市の桜守から寄贈された祇園しだれ桜が植樹され、「仙台浪分桜」と名付けられています。この桜は、東日本大震災の教訓を千年先まで伝えるという願いが込められています。

駅構造と運行

荒井駅は、八木山動物公園駅とは異なり、八木山動物公園方面への渡り線がないため、列車はそのまま折り返すことはできません。1番線から発車した列車は、荒井車両基地方面に進み、出入庫線と平行する引上線で折り返した後に、八木山動物公園行として2番線に入線する仕組みになっています。

アクセスと周辺環境

駅には、南1・2、中央1、北1の4ヶ所の出口があります。各出口付近には、タクシー乗り場、バス乗り場、一般車両の送迎用乗り場などが整備されています。

周辺には、荒井車両基地、仙台東部道路・仙台東IC、宮城県道23号仙台塩釜線（産業道路）、若林警察署、荒井東郵便局、商業施設、学校、金融機関などが立地しており、生活に密着した環境となっています。

利用状況

2022年度の1日平均乗車人数は3,344人でした。開業時は4,456人の乗車人員を見込んでいたものの、震災の影響や利用状況の変化などにより、当初の予想を下回っています。

まとめ

荒井駅は、本州最東端の地下鉄駅であるという地理的な特徴に加え、東日本大震災の教訓を未来へ伝えるメモリアル交流館の設置など、単なる交通拠点としての役割を超えた存在感を示しています。周辺環境と一体となり、地域住民の生活を支える重要な拠点として、今後も発展を続けることが期待されます。

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