荒尾之茂

荒尾之茂：華族の生涯と家系

荒尾之茂(1889-1962)は、明治から昭和時代を生きた日本の華族です。旧鳥取藩国老の家系に生まれ、男爵位を継承しました。華族としての立場だけでなく、会社勤務や慈善活動などを通して、多岐にわたる活動を行いました。しかし、生涯は決して平坦なものではなく、東京大空襲による邸宅焼失など、数々の困難を経験しています。

華族としての出自と経歴

荒尾之茂は、東京府士族・池田武吉の次男として誕生しました。1894年、荒尾成富の養子となり、家督を相続します。幼少期から厳格な武士道教育を受け、1906年には養父成富の功績により華族に列し、男爵位を授かりました。1909年には従五位に叙せられています。

その後、健康上の理由から鳥取県米子市に移り住み、静養生活を送りました。しかし、その間も社会活動は継続し、三井合名会社に長年勤務しました。1918年には、鳥取県西伯郡米子町小学校に公債証書を寄付するなど、慈善活動にも積極的に取り組んでいました。

東京大空襲と最期

1945年3月15日、東京大空襲により、荒尾之茂の邸宅は全焼してしまいました。その後は京都で仮寓生活を送る中、1962年1月22日に亡くなりました。法名は松柏院殿清修成茂大居士、墓所は米子市にある黄檗宗の祥光山了春寺です。


家系と人物像

荒尾家は、尾張国に起源を持ち、織田信長、池田信輝に仕えた家系です。その後、池田光仲が鳥取に封ぜられた際に伯耆国米子を預かり、1万5千石を領有するまでに成長しました。荒尾之茂の養父である荒尾成富は、この家系の重要な人物でした。

宗教は神道であり、東京に居住していた時期には、東京府豊多摩郡千駄ヶ谷町大字原宿、東京市麹町区二番町に住所を置いていました。

家族について

荒尾之茂の家族関係は、以下の通りです。

養父：荒尾成富
養姉：やす（荒尾成富の長女）
先妻：有子（三井高保の三女、三井高精の妹）
後妻：須賀子（伯爵・冷泉為系の長女）
養子：利就（荒尾良三の長男）
養子の妻：すみ子（丸勘一郎の三女）

これらの家族関係は、荒尾家の歴史と社会的地位を理解する上で重要な要素となっています。


参考文献

荒尾之茂の生涯を知る上で参考となる文献は数多く存在します。これらには、官報、人事興信録、鳥取県人名鑑、因伯名流伝、財界物故傑物伝、華族名簿、伯耆米子城、昭和新修華族家系大成などがあります。これらの文献には、荒尾之茂の経歴、家族関係、社会活動、そして時代の状況などが詳細に記されています。これらを通じて、荒尾之茂という人物像とその時代背景をより深く理解することができるでしょう。


結論

荒尾之茂は、華族としての立場だけでなく、会社員、慈善家としての顔も持ち合わせた、複雑で多面的な人物でした。華族社会、そして激動の時代を生き抜いた彼の生涯は、歴史を学ぶ上で貴重な資料となっています。彼の足跡は、日本の近代史、特に華族社会や鳥取地方の歴史を理解する上で、重要な役割を果たしています。

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