荒尾市営電気鉄道

荒尾市営電気鉄道

荒尾市営電気鉄道（あらおしえいでんきてつどう）、通称荒尾市電は、かつて熊本県の荒尾市内を横断していた鉄道路線です。この路線は、もともとは1940年に旧日本陸軍によって国鉄万田駅（現・荒尾駅）から緑ヶ丘地区の軍事施設に向けて建設されました。しかし、終戦後の1949年にはこの路線が再生され、主に通勤や通学のための交通手段として開業しました。

営業寸法と運行

荒尾市電の営業キロは5.1kmで、全線にわたり単線が採用され、1067mmの軌間を用いていました。電化された区間は全線が直流500Vで供給され、ノンストップで運行されていました。廃止直前の運行頻度は、約40分から50分ごとに列車が運行され、22往復の本数を誇っていました。

歴史的な展開

1949年3月1日に初めての区間である境崎 - 増永（後の揚増永）間が開業し、その後1950年6月20日には増永から緑ヶ丘間が開通しました。12月21日には荒尾 - 境崎間が開業し、さらには緑ヶ丘（仮）- 緑ヶ丘の延伸も認可されました。こうして、荒尾市電は地域の交通網として機能するようになりました。

しかし、1964年10月1日には荒尾 - 緑ヶ丘間が全線で廃止されることとなりました。この廃止は、施設の老朽化や長年にわたる赤字経営によるものでした。

駅名と接続路線

全10駅が設置されていた荒尾市電は、以下の駅を含んでいました：荒尾駅、境崎駅、小田峯駅、宮内駅、本村駅、揚増永駅、水源地前駅、シオン園前駅、新生区駅、そして緑ヶ丘駅であります。特に、荒尾駅は国鉄鹿児島本線と接続しており、地域の重要な交通拠点となっていました。

車両の別歴史

開業当初は熊本電気鉄道から電車2両が譲渡され、その車両には元の番号と同じく15号、16号が付けられました。これらは元々名古屋鉄道のモ45形で、1912年に製造された木造の2軸車でした。1949年初頭には熊本電鉄で運行された後、再度荒尾市に再譲渡されて使用されていました。

更には1951年には新製車両が導入され、旧車両が101号として置換えられることとなりました。このようにして、荒尾市電はその廃止までの間、地域住民のニーズに応え続けました。

廃線後の跡地

現在、荒尾と小田峯間には市道が通り、小田峯から本村間は自転車や歩行者専用の道として利用されています。本村から緑ヶ丘間は一般道路の歩道に転用され、交通便の向上に一役買っています。また、途中に架かる竹下橋梁など、わずかに残る遺構がその歴史を物語っています。

参考文献

この情報は、今尾恵介が監修した『日本鉄道旅行地図帳 - 全線・全駅・全廃線』第12巻 九州沖縄を基にしています。鉄道の歴史や運行データを網羅したこの一冊は、鉄道ファンだけでなく地域の歴史を知りたい方にも有意義な資料となるでしょう。

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