荒屋敷貝塚

荒屋敷貝塚は、千葉県千葉市若葉区貝塚町に位置する縄文時代の貝塚であり、環状集落の遺跡として知られています。1979年3月13日に国の史跡として指定され、その歴史的価値が認められました。

この貝塚は、縄文時代中期から後期にかけて形成されたと考えられています。草刈場貝塚や台門貝塚と共に、貝塚町貝塚群を構成する重要な遺跡の一つです。文献によっては、新屋敷貝塚、千葉貝塚、貝塚町貝塚、または「あらひき（あらしき）貝塚」といった別名で呼ばれることもあります。

貝層部は環状に近い馬蹄形をしており、南北約150メートル、東西約160メートルの範囲に広がっています。この広大な範囲に、当時の人々の生活の痕跡が色濃く残されています。遺跡内からは、食料などを貯蔵するために使われたと推定されるピット群や、住居として使われた竪穴建物群も確認されており、当時の集落の様子を垣間見ることができます。

荒屋敷貝塚の歴史は古く、1872年（明治5年）からは石灰の採掘が行われていました。その後、学術的な調査も行われるようになり、1942年（昭和17年）には東京大学が地形測量を実施し、1968年（昭和43年）には加曽利貝塚博物館も測量を行っています。そして、1973年（昭和48年）、1975年（昭和50年）、1976年（昭和51年）の3度にわたり、千葉県教育委員会と千葉県文化財センターによって発掘調査が行われました。これらの調査によって、遺跡の詳細な情報が明らかになり、縄文時代の生活や文化の研究に大きく貢献しています。

特筆すべき点として、1964年（昭和39年）の京葉道路延伸計画において、荒屋敷貝塚が路線上に位置することになりました。しかし、遺跡の重要性を考慮し、トンネル工法（貝塚トンネル）を採用することで、遺跡の保全が図られました。これは、開発と文化財保護の両立を目指した好例と言えるでしょう。

荒屋敷貝塚は、縄文時代の貴重な遺構を今に伝える、重要な文化遺産です。今後の研究や保存活動を通じて、その価値を後世に伝えていく必要があります。

関連情報

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