荒川橋梁 (秩父鉄道秩父本線)

荒川橋梁の概要

荒川橋梁（あらかわきょうりょう）は、秩父鉄道秩父本線に位置し、埼玉県秩父郡長瀞町と皆野町を結ぶ重要な鉄道橋です。この橋は、全長153メートルで最大支間長が18.99メートルの単線開床式プレートガーダー橋ため、秩父鉄道の橋梁の中で最も長い構造物です。通称「親鼻鉄橋」としても知られており、長瀞渓谷を横断する美しい風景の中に位置しています。

構造と設計

荒川橋梁は9径間からなり、主に3種類の桁が使用されています。河道の真上に架かる主桁は6径間を持ち、両岸にはそれぞれの段丘に架かる側径間があります。特に、上長瀞寄りの1径間は支間長6.55メートルのポーナル型の架道橋であり、その下にはかつての初代秩父駅への旧線跡が存在します。この旧線は現在町道として利用されています。

また、橋脚は約20メートルの高さを持つ楕円形断面の煉瓦積みで構成され、上層にはコンクリートで補強が施されています。この橋梁は、鉄道作業局が発行した「作30年式」の設計を基にしており、元々1897年に標準化された形式に倣って設計されています。橋の線形は河道の向きと直角となるよう大きくカーブしており、美しい景観を生み出しています。

歴史的経緯

荒川橋梁は、上武鉄道が運営していた1901年から1911年にかけての開通に伴い、1913年に着工されました。1914年に竣工し、同年の10月27日に開通しました。元々、荒川を渡らない位置に設置されていた初代の秩父駅は、橋が完成することで大きな利便性を享受しました。また、橋が開通することにより、地域の交通の発展にも寄与しました。

この橋は、国の重要文化財に指定されており、土木学会の「近代土木遺産2800選Aランク」にも選ばれています。現在においても、秩父線の唯一の荒川渡河点として重要な役割を果たしています。

周辺環境

荒川橋梁の周囲は、長瀞渓谷に広がる自然豊かな環境にあり、県立長瀞玉淀自然公園に指定されています。また、近隣ではラフティングなどのレジャー活動も盛んで、訪れる人々に多くのアクティビティを提供しています。観光名所としては、月の石もみじ公園や金崎古墳群、皆野スポーツ公園などがあり、多くの人々に親しまれています。

この鉄道橋は、その美しい万の景観と豊かな歴史、および地域の観光資源として、多くの人々に愛され続けています。

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