荒川達彦

荒川 達彦

荒川 達彦（あらかわ たつひこ）氏は、1944年9月12日に兵庫県尼崎市で誕生した、日本のサクソフォーン奏者、作曲家、そして編曲家です。

プロフェッショナルとしてのキャリアは、1964年にサクソフォーン奏者としてスタートしました。キャリアの初期には、日本の音楽界で名声を得ていたブルーコーツやアロー・ジャズ・オーケストラといったビッグバンドでの演奏経験を積みました。これらの経験は、その後の彼の音楽活動の重要な基盤となります。

1970年、彼は自身のリーダーバンドとして、コンボ形式のバンドである荒川達彦カルテットを結成し、活動を開始します。バンドリーダーとして、自身の音楽性を追求する一方で、さらなる研鑽を積むため、1974年にはアメリカ合衆国へ渡航。この滞米期間中、彼は作曲と編曲に関する専門的な学習を行い、自身の音楽的視野と技術を大きく広げました。

帰国後の1978年には、その成果として作曲・編曲を手がけた楽曲「源氏」を発表。この曲は、当時人気を博していた高橋達也と東京ユニオンに提供され、同年のモントルー・ジャズ・フェスティバルで演奏される機会を得ました。モントルーでの「源氏」の演奏は、国際的な舞台で高い評価を獲得し、荒川氏の作曲家・編曲家としての実力を広く知らしめる出来事となりました。

その後、彼は新たなプロジェクトを始動させます。岡野等、塩村修、荒木敏男といった実力派ミュージシャンたちと共に、ザ・グレイト・アメリカン・ミュージック・バンドを結成。このバンドは後に荒川バンドと改称し、リーダーとして活動を展開しました。バンド活動を通じて、自身の演奏家、作曲家、編曲家としての才能をさらに発揮していきます。

バンド解散後、荒川氏は活動の場をスタジオワークや舞台音楽の分野へと移しました。スタジオミュージシャンとして数多くのレコーディングに参加する傍ら、舞台音楽の作曲なども精力的に手がけ、幅広いジャンルでその才能を発揮しました。

現在の彼の活動の中心は、デジタル技術を用いた音楽制作、いわゆるDTM（Desktop Music）による作曲および編曲です。長年のキャリアで培われた音楽性と、最新の技術を融合させながら、意欲的に創作活動を続けています。

これまで荒川氏は、数多くの著名なアーティストやプロジェクトに関わってきました。主な参加ミュージシャンとしては、上田正樹、大瀧詠一、岡本章生&ゲイスターズ、高橋達也&東京ユニオン、ピンク・レディー、南沙織などが挙げられます。

彼の主な作品には、リーダーアルバムとして以下のタイトルがあります。

『SCORPIO』（ロブスター企画/NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン）
『OVER THE SKY』（キングレコード）
『アランフェス・ワンダーランド』（日本コロムビア）
『lena』（日本コロムビア）
『ハード・ボイルド』（日本コロムビア）
『BRAND NEW』（SONY WALKMAN DEMONSTRATION CASSETTE TAPE）
『BAMBOO』（John 海山 Neptune with ARAKAWA BAND）（東芝EMI）
『A Wonderful World of デューク・エイセス with 荒川バンド』（東芝EMI）
『グッド・ナイト・ベイビー / ザ・キング・トーンズ with 荒川バンド』（ビクター）

また、映像音楽の分野でも貢献しており、特に以下の作品に関わっています。

テレビドラマ『大都会 PARTIII』（1978年、日本テレビ系）では、劇伴の作曲を担当しました（演奏は高橋達也と東京ユニオン）。
* 映画『野獣死すべし』（1980年、角川春樹事務所作品）では、演奏プロデュースを担当しました（作編曲はたかしまあきひこ）。

荒川達彦氏は、サクソフォーン奏者としての卓越した演奏技術に加え、作曲家・編曲家としての確かな手腕によって、日本の音楽界において多岐にわたる足跡を残しています。キャリア初期から現在に至るまで、常に音楽の可能性を追求し続け、多くの人々に感動を与える作品を生み出し続けている、貴重な音楽家です。

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