荒木又右衛門 (1930年の映画)

映画『荒木又右衛門』について

『荒木又右衛門』は、1930年に製作・公開された日本の長編劇映画であり、サイレント映画時代における剣戟映画の一つです。監督は悪麗之助が務め、17世紀の著名な剣客、荒木又右衛門の生涯を描いています。本作は、彼を主人公とする映画の第17作であり、松竹キネマが制作したもので、同社が手がけた作品の中でも特に注目に値するものとなっています。

荒木又右衛門とは

荒木又右衛門は、日本の武士階級に属し、剣の達人として知られていました。彼の活躍は多くの物語や伝説に残されており、映画化されることも数多くありました。本作は1910年に公開された『荒木又右衛門法書試合』に始まり、続いて30本以上の作品が制作されています。その中でも、本作は松竹製作としては3番目の作品であり、松竹下加茂撮影所では初めての取り組みです。

監督と制作

本作の監督を担当した悪麗之助は、ツキガタプロダクションで良き仲間であった月形龍之介を主演に据えた作品を数多く監督してきました。しかし、映画『荒木又右衛門』の公開から翌年の1931年に監督業を引退し、その年の10月に29歳で亡くなりました。そのため、本作は彼の手がけた作品の中でも特別な意味を持つものとなっています。

上映と消失

『荒木又右衛門』の上映用プリントは、戦後の1950年に松竹下加茂撮影所内の倉庫で発生した火災によって消失しました。多くの貴重なフィルムが失われる中、本作もその一つとなり、長い間姿を消していました。

復元と再公開

しかし、2009年に大阪・堺市において、家庭用に再編集された約15分の16mmフィルムが発見されました。このフィルムは『荒木伊賀越三十六番斬り』というタイトルで再編集され、復元作業が行われました。その結果、同年11月6日に、大阪・ワッハ上方大ホールで再び公開されています。

経歴と評価

本作は、荒木又右衛門という歴史的人物を基にし、多数の映画作品と共にその人気を高めてきました。映画としてはサイレント映画の時代のものでありながら、当時の日本における剣戟映画の一端を担った重要な作品とされています。

キャストとスタッフ

本作の脚色には大隈俊雄が関わり、撮影は杉山公平が担当しています。上映時間は111分で、構成は10巻から成り、現存する映像は約15分に限られています。また、映画は白黒映像であり、スタンダードサイズ（1.33:1）で制作されています。初回の興行は浅草・松竹館にて行われました。

以上のように、映画『荒木又右衛門』は単なる映画作品としての枠を超えて、文化的な背景と歴史とも深く結びついている特異な存在だと言えるでしょう。

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