荒武康博

荒武 康博（あらたけ やすひろ）氏は、1948年9月14日に兵庫県で生まれた、日本の元プロ野球選手です。

報徳学園での高校野球時代

兵庫県の強豪、報徳学園高校に進学した荒武氏は、捕手および一塁手としてチームの主軸を担いました。高校2年生だった1965年には、五番打者、捕手兼一塁手として夏の全国高等学校野球選手権大会に出場。1年先輩のエース、谷村智博投手を擁し、快進撃を見せます。準々決勝では、この大会で優勝することになる三池工業高校と対戦。相手エースの上田卓三投手との息詰まる投手戦となりましたが、9回裏に同点に追いつかれ、延長10回にサヨナラ負けを喫し、ベスト4進出はなりませんでした。同年の岐阜国体でも、再び三池工の上田投手の前に敗退しています。

翌1966年、荒武氏は3年生となり、四番打者、捕手としてチームを牽引。夏の甲子園に2年連続で出場を果たしました。前田正宏投手の好投もあり、チームは順調に勝ち進み、準決勝まで駒を進めます。しかし、準決勝では、後に甲子園で春夏連覇を達成する中京商業高校と対戦。中京商のエース、加藤英夫投手に抑えられ、1対2の僅差で惜敗しました。

この1966年の夏の大会では、特筆すべき記録も残しています。2回戦の竜ヶ崎一高戦において、史上8人目となる満塁本塁打を放ち、その打棒を見せつけました。また、同年の大分剛健国体にも出場しており、1回戦では横浜一商に大勝。この試合でも自ら本塁打を記録するなど活躍しましたが、準々決勝で岡山東商に敗れ、高校生活最後の夏を終えました。

プロ野球西鉄ライオンズでのキャリア

高校卒業後、荒武氏は当初、立教大学への進学を希望していました。しかし、1966年に行われたプロ野球第2次ドラフト会議において、西鉄ライオンズから1位指名を受け、プロの世界へ進むことを決意します。捕手として高校時代に名を馳せましたが、プロ入り後は一塁手に転向しました。

大型内野手として将来を嘱望され、プロ入り2年目の1967年には、若手選手の登竜門であるジュニアオールスターゲームにも出場するなど、期待の星として注目されました。1968年と1970年には、一塁手としてそれぞれ6試合に先発出場するなど、一軍での出場機会も得ました。しかし、プロの高い壁、特に打撃面で成績を残すことができず、入団からわずか5年後の1971年シーズン限りで現役を引退することとなりました。

プロ野球選手としては短いキャリアで幕を閉じましたが、荒武氏の人生にはさらなる転機が訪れます。

引退後の異色のキャリア

プロ野球界を離れた荒武氏は、異色のキャリアチェンジを果たします。32歳を迎えた頃、プロゴルファーへの転身を決意。新たなスポーツの世界でプロとして活動を開始しました。さらに、1985年には株式会社プロジェクトエーを設立し、ビジネスの世界にも進出しています。

現在、荒武氏はプロゴルファーとしての経験を活かし、ゴルフのコーチとして活動しています。プロ野球、そしてプロゴルフという二つの異なるプロフェッショナルスポーツの世界を経験した稀有な人物として、多くの人々に影響を与えています。

背番号

80 （1967年）
9 （1968年 - 1971年）

もう一度検索