荒田八幡神社

荒田八幡神社：歴史と信仰が織りなす神戸の聖地

兵庫県神戸市兵庫区荒田町に位置する荒田八幡神社は、古くから人々の信仰を集めてきた歴史ある神社です。応神天皇、素戔嗚尊、そして安徳天皇を祭神として祀り、その歴史は古く、かつては高田神社として熊野権現を祀っていました。明治31年(1898年)、近隣の八幡社を合祀し、現在の名称となりました。

特に注目すべきは、神社が位置する土地の歴史的意義です。この地は、周囲よりも一段と高く、古くから重要な場所であったと考えられています。平清盛の弟、池大納言平頼盛の山荘があったとされており、治承4年（1180年）の福原遷都時には、安徳天皇の行在所となったのです。境内には、安徳天皇行在所跡の碑が現在も残されており、当時の様子をしのばせてくれます。

高倉天皇の『厳島御幸記』には、頼盛邸宅での天皇の滞在の様子が詳細に記されています。そこには、広大な邸内で笠懸や流鏑馬が行われたことが記されており、頼盛邸宅の規模の大きさを物語っています。昭和13年（1938年）の神戸大水害においても、周辺が水没する中、この地は島のように屹立していたという記録も残っています。

このように、荒田八幡神社は日本の歴史、特に平家物語と深く関わり、神戸の歴史を語る上で重要な史跡となっています。「平家ゆかりの地」として知られ、多くの人々がその歴史的価値に注目しています。しかし、昭和20年（1945年）の神戸大空襲により社殿は焼失。仮社殿を経て、昭和60年（1985年）に現在の社殿が建立されました。

昭和55年（1980年）には、福原遷都800年を記念し、「福原遷都八百年記念碑」が建立されました。これは神戸市と郷土史家の尽力によるもので、歴史的な出来事を後世に伝える重要なモニュメントとなっています。

荒田八幡神社は、厄除けの神としても広く知られています。毎年1月18日～20日に行われる厄除大祭には、兵庫県内各地から多くの参拝者が訪れ、賑わいを見せます。境内には、安徳天皇行在所跡、福原遷都八百年記念碑の他に高田稲荷大神も祀られています。

アクセスは、神戸市バス、神姫バス、阪急バス「大学病院前」から徒歩約300m、神戸市営地下鉄西神・山手線「大倉山駅」西出口1から徒歩約700m、「湊川公園駅」東出口2・3から徒歩約850m、JR神戸線「神戸駅」から徒歩約1km、神戸高速鉄道「高速神戸駅」から徒歩約1.4kmと、複数の交通手段でアクセス可能です。

古くからの歴史と、現代に受け継がれる信仰。荒田八幡神社は、神戸の地に深く根付いた、重要な文化的、歴史的資産と言えるでしょう。

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