熊野権現

熊野権現について

熊野権現（くまのごんげん）とは、熊野三山に祀られる神々のことを指し、特に主祭神である家都美御子（けつみみこ）、速玉（いざなぎ）、牟須美（いざなみ）を含む熊野三所権現と、その他の神々を加えた熊野十二所権現を指します。この神々は、本地垂迹思想に基づき呼ばれるようになりました。

熊野三山の概要

熊野三山は、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社の三社から成り立っています。各社の起源は古代に遡り、様々な歴史的背景を持っています。具体的には、熊野本宮大社が崇神天皇代に、熊野速玉大社が景行天皇代に、熊野那智大社が孝昭天皇代にそれぞれ開基されたと伝えられていますが、詳細は明確ではありません。

正確に神名が確認できるのは、805年頃に成立した文献に見られます。その中には、速玉神や熊野牟須美神を祀った神封の記録が残っており、今日の新宮地域で一緒に祀られていたことが窺えます。9世紀中頃になると、「熊野坐神」とだけ呼ばれるようになり、特定の神に名前を与えられる過程が見られます。

神々の成り立ち

この時期には家都美御子が熊野神の一員として認識され、また後の文献において多くの神々の名前が挙げられ、12世紀末までには熊野三所権現と熊野十二所権現が堅固に確立されていたことが分かります。
特に、那智大社は流れ落ちる滝が聖地として知られ、最初は別の神格を持っていて、鎌倉時代初期には熊野十二所権現への祭祀が行われていました。このように、相互に神々を祀る過程で三山は一体化を果たしていったのです。

各神社の主祭神

以下のように、各神社の主祭神は異なりますが、相互に勧請し合っています。熊野本宮大社では家都御子神が主祭神であり、阿弥陀如来に結びついています。熊野速玉大社の速玉男神は薬師如来を、熊野那智大社の牟須美神は千手観音とされています。

この三山はそれぞれ、異なる浄土のイメージを持ち、最終的には熊野全体が浄土と見なされるようになりました。

また、熊野本宮大社と熊野速玉大社にはそれぞれ12柱の神々が祭られています。熊野那智大社では、「瀧宮」に大己貴命（飛瀧権現）と千手観音が祭られ、他の八神も含めて「十三所権現」となっています。

これらの伝承や祭りの文化は、熊野権現が日本の神道において非常に重要な位置を占めていることを示しています。熊野三山は自然を愛し、訪れる人々に精神的な癒しを提供し続ける伝統的な信仰の場であり、これからも多くの人々に親しまれていくことでしょう。

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