荒野の誓い (映画)

『荒野の誓い』

2017年公開のアメリカ映画『荒野の誓い』は、スコット・クーパー監督が、西部開拓時代末期を舞台に、憎しみと対立を超えた人間ドラマを描いた作品です。

あらすじ

1892年、インディアン戦争で英雄となったジョー・ブロッカー大尉は、現在は看守として勤務しています。彼は、長年投獄されていたシャイアン族の族長イエロー・ホークと、その家族をモンタナの居留地へ護送する任務を命じられます。かつて、イエロー・ホークに友人や仲間を殺された過去を持つジョーは、深い憎しみを抱きながらも任務を遂行することになります。

護送の道中、コマンチ族に家族を惨殺された未亡人ロザリーが一行に加わります。様々な危機的状況に直面する中で、ジョー、イエロー・ホーク、そしてロザリーは、互いに協力し、理解を深めていきます。

主要な登場人物

ジョセフ・J・“ジョー”・ブロッカー大尉（演：クリスチャン・ベール）
インディアン戦争で功績を上げた軍人。先住民の言葉を理解し、モンタナへの道に詳しいことからイエロー・ホークの護衛に選ばれます。過去の出来事からイエロー・ホークを深く憎んでいます。
ロザリー・クウェイド（演：ロザムンド・パイク）
コマンチ族に家族を殺された未亡人。護衛隊に保護され、一行に同行します。
イエロー・ホーク首長（演：ウェス・ステュディ）
シャイアン族の族長。癌に侵されており、故郷モンタナの聖地での死を望んでいます。
ルディ・キダー少尉（演：ジェシー・プレモンス）
陸軍士官学校卒の護衛隊員。
ブラック・ホーク（演：アダム・ビーチ）
イエロー・ホークの息子。
トーマス・“トミー”・メッツ曹長（演：ロリー・コクレーン）
ジョーの旧友。うつ病を患いながらも護衛隊に同行します。
ロス・マッカウアン中佐（演：ピーター・マラン）
ジョーにイエロー・ホークの護送任務を命じた司令官。
チャールズ・ウィルス軍曹（演：ベン・フォスター）
インディアン一家を惨殺し、逃亡した囚人。
* フィリップ・デジャルダン二等兵（演：ティモシー・シャラメ）
護衛隊の一員。フランス出身の若き兵士。

作品のテーマ

本作は、敵対する者同士が、過酷な旅の中で互いを理解し、協力し合うことで、人間としての尊厳を取り戻していく姿を描いています。憎しみや復讐心といった感情に囚われず、対話を通して真の和解へと至る道を示唆しています。

また、西部開拓時代という歴史的な背景を通して、アメリカ先住民に対する差別や偏見といった社会的な問題も浮き彫りにしています。

作品の評価

批評家からは、クリスチャン・ベールの演技や、重厚なストーリーが評価されています。Rotten Tomatoesでは、70%の支持を得ており、「美しい映像とベールの素晴らしい演技が、不安定な物語を昇華させている」と評されています。

Metacriticでは、100点満点中65点の評価を得ており、賛否両論あるものの、その芸術性やメッセージ性は高く評価されています。

まとめ

『荒野の誓い』は、単なる西部劇に留まらず、人間の普遍的なテーマを描いた作品です。重厚なドラマ展開と、実力派俳優たちの演技が、観客を深く感動させます。憎しみの連鎖を断ち切り、和解の道を探る物語は、現代社会にも通じる普遍的なメッセージを私たちに伝えてくれるでしょう。

もう一度検索