荘民

荘民とは

荘民（しょうみん）とは、中世日本の荘園に住んでいた人々のことを指します。公領に住む公民と対比される概念で、一般的には、百姓名主や在家住人などの有力な農民層を指しました。

荘民の成立

初期の荘園では、荘民という概念は明確には存在しませんでした。荘園の耕作は、公領に住む公民が寄作として行っており、荘園とのつながりは希薄でした。しかし、荘園制が発達するにつれて、荘園領主は、耕作者を荘園内に定住させ、安定した労働力を確保しようとしました。そこで、国役や臨時雑役を免除することで、公民を荘園内に移住させ、荘民として取り込んでいったのです。

12世紀には、荘園に住む者は荘民、公領に住む者は公民という原則が確立し、「荘民」という言葉も一般的に使われるようになりました。当時の荘園は、百姓名主や在家住人といった上級層と、作人・小百姓・所従・下人などの下級層に分かれていました。

荘民の階層

荘民の上級層は、年貢納入の義務を負う代わりに、作人や小百姓を動員して耕作を行い、有力者は荘官に任命されることもありました。一方、作人や小百姓は、年貢の一部のみを納入すればよかったものの、土地の権利保障は薄く、荘官に任命されることもありませんでした。所従・下人は、荘園領主や荘官、上級層の住民に従属していました。

荘民の変容

14世紀に入ると、生産力の上昇や農民層の抵抗、荘園内部での上級層の没落と下級層の上昇などにより、荘民の身分は再編されることになります。上位の者は、領主や地侍としての地位を獲得し、荘園領主の支配から脱却する者も現れました。反対に、下位の者は、地下百姓に転落していきました。また、所従・下人を含めた荘民は、新たな農民集団を形成し、「惣」と呼ばれる自治組織を作るようになりました。この段階になると、「荘民」という言葉は使われなくなり、消滅していきました。

まとめ

荘民は、荘園制の発展とともに生まれた、荘園に住む人々の概念です。当初は、有力な農民層を指しましたが、時代とともにその意味合いは変化し、荘園の変遷とともに、その役割も変化していきました。荘民の歴史は、中世日本の社会構造の変化を理解する上で、重要な手がかりとなります。

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