荻野凖平

荻野凖平は、1909年（明治42年）6月1日に、現在の静岡市葵区にあたる安倍郡賤機村で生まれました。1928年に静岡県立静岡商業学校（現在の静岡県立静岡商業高等学校）を卒業後、賤機郵便局に就職し、社会人としての第一歩を踏み出しました。

その後、1946年には賤機農業協同組合長に就任し、地域社会への貢献を始めました。1947年には静岡市議会議員選挙で初当選を果たし、以後3期にわたり市議会議員を務めました。1956年には静岡市議会議長に就任し、市議会運営の中枢を担いました。

1959年には静岡県議会議員選挙に当選し、県政にも関与しました。そして、1963年の静岡市長選挙では、自由民主党の公認候補として立候補し、現職の松永彦雄市長を破り、見事初当選を果たしました。この当選は、荻野凖平の政治家としての大きな転換点となりました。

市長在任中には、全国史跡整備市町村協議会会長（1966年）、東海市長会会長（1967年）、全国市長会副会長（1979年）などの要職も歴任し、地方自治の発展にも貢献しました。

荻野市長は、1969年に藍綬褒章を受章、1970年には文化庁長官表彰、1977年には自治大臣表彰と文部大臣表彰を受章するなど、その功績は広く認められました。

荻野市長の市政における主な功績としては、以下が挙げられます。

1963年：静岡競輪場の市有化、一般家庭ゴミ処理手数料の無料化
1969年：安倍郡6か村との合併、日本平動物園の開園
1978年：静岡市民文化会館の建設
1979年：国鉄東海道本線の高架化
1982年：静岡産業館（現在のツインメッセ静岡）の開館
1983年：静岡駅北口広場の完成

これらの事業は、市民生活の向上や文化振興、都市基盤整備に大きく寄与しました。特に、ゴミ処理手数料の無料化は、当時の他の自治体では見られない画期的な施策でした。

1983年、荻野凖平は5期20年にわたり務めた静岡市長を退任しました。特筆すべきは、その在任期間中、一度も欠勤がなかったということです。退任時には、長年の市政への貢献が認められ、勲二等瑞宝章を受章しました。

退任後も、荻野凖平は地域社会に貢献し続けました。著書として、1985年に『賎ヶ岡乃記』を出版しています。

2001年1月22日、荻野凖平は91歳でその生涯を閉じました。その生涯は、地方自治の発展と市民生活の向上に捧げられたものであり、その功績は今もなお、静岡市民の記憶に深く刻まれています。

荻野凖平の業績は、静岡市の歴史において重要な位置を占めており、そのリーダーシップと実行力は、後世に語り継がれるべきものです。

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