菅原初代

菅原 初代

菅原 初代（すがわら はつよ）は、1963年（昭和38年）11月14日に岩手県水沢市（現在の奥州市）に生まれ、2023年（令和5年）3月9日に59歳でこの世を去った日本の著名なフードファイター、タレント、そして実業家です。特に大食い競技の世界で「魔女・菅原」の異名を持ち、数々の記録を樹立しました。

生涯とキャリア

学生時代は学業にも優れ、特に中学校では数学で好成績を収めていました。部活動では体操に打ち込みます。岩手県立水沢高等学校に進学後は新聞部に所属し、三島由紀夫、太宰治、芥川龍之介といった日本の近代文学作品を精力的に読み耽るなど、文学への深い造詣を示しました。山形県立米沢女子短期大学を卒業後、福島県にて公務員として司書の職に就きました。

私生活では、1998年に35歳で知人の紹介を経て結婚。配偶者の仕事に伴い青森県へ転居し、2002年には長男を出産しています。

大食い競技での活躍

菅原氏が大食いの世界に足を踏み入れるきっかけとなったのは、わんこそば大会への出場でした。2006年には15分間で289杯を食し準優勝。翌2007年からは3年連続で優勝を飾り、その頭角を現します。この頃より、本格的にフードファイターとしての活動を開始しました。テレビ東京系列の看板番組『元祖!大食い王決定戦』の女子トップを決める女王戦では、2008年より前人未踏の3連覇を達成し、その圧倒的な強さから大食い界の殿堂入りを果たしました。番組内ではその驚異的な食べっぷりから「魔女」「魔女・菅原」という愛称で呼ばれるようになり、多くの視聴者に強烈な印象を与えました。

他の多くのフードファイターからもその姿勢は高く評価されており、例えばロシアン佐藤氏は、彼女を「試合に真剣に向き合い、驚くほどストイックな完璧なプロフェッショナル」と称賛しています。その真摯な競技への取り組みは、大食いファンのみならず多くの人々に感動を与えました。

実業家として

2016年12月には、自宅の一角に自家製天然酵母パンの店「カンパーニュ」を開店し、実業家としての手腕も発揮しました。パン店経営と並行して、大食い企画やバラエティー番組など、メディアへの出演も精力的に行っていました。岩手銀行のCMに出演した際は、女優のんさんと共演し、実際の店舗が撮影に使われるなど、その活動は多岐にわたります。

病気と晩年

順調な活動を続ける中、2022年6月に大腸癌を患っていることが判明しました。診断はステージ4という進行した状態でした。病との闘いに専念するため、惜しまれつつもパン店「カンパーニュ」を閉店。闘病生活を送りながらも、2023年2月には趣味で集めていた美術品やアート作品の展示販売会を開催するなど、最後まで意欲的な姿を見せました。

親交のあった複数のフードファイター仲間、例えばエステ三宅氏らによれば、彼女は生前、自身の病が大食い競技そのものとは無関係であるにもかかわらず、もし関連があるかのように誤解されれば、大食い界全体に不要な誤解や迷惑がかかることを深く案じており、それが病状の公表をためらっていた理由の一つであったと伝えられています。このことからも、彼女がいかに大食い競技と、そこに携わる人々に対して深い配慮を持っていたかがうかがえます。

死去と追悼

2023年3月9日の深夜に永眠しました。59歳でした。この事実は同月17日、本人のTwitterアカウントを通じて公にされました。訃報は多くのファンや関係者に衝撃を与えました。同年5月4日に放送された『最強大食い王決定戦2023』の番組終盤では、生前の出演映像と共に「菅原初代さんのご冥福をお祈りします」という追悼のテロップとナレーションが流れ、その功績を偲びました。

「魔女・菅原」として大食い界に確固たる足跡を残し、実業家としても活動した菅原初代氏。そのストイックなプロフェッショナル精神と、周囲への細やかな配慮は、多くの人々の記憶に深く刻まれています。

主な出演番組

『TVチャンピオン』（「魔女」「魔女・菅原」の愛称が付く）
『爆報! THE フライデー』
『リンカーン』
『水曜日のダウンタウン』
『デカ盛りハンター』

主なCM出演

岩手銀行（のんさんと共演）

外部リンク

魔女菅原 - X（旧Twitter）
Hatsuyo Sugawara - Instagram
* 魔女菅原 - YouTubeチャンネル

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