菅島灯台

菅島灯台

菅島灯台（すがしまとうだい）は三重県鳥羽市にある歴史ある灯台で、白亜の中型の構造を持つ美しい外観が特徴です。この灯台は国の重要文化財に指名され、「日本の灯台50選」にも選ばれており、その文化的価値が高く評価されています。特に注目される点は、日本最古の煉瓦造灯台であるという点で、建設当初の様子を今も伝えています。

歴史

菅島灯台の歴史は1673年（延宝元年）にさかのぼります。このとき、灯台の前身となる「御篝堂（おかがりどう）」が設立され、かがり火を焚くことにより船舶の安全を図りました。この周辺の海域は岩礁が多く、船を難破させる危険があったため、当時の船乗りたちから「鬼ケ崎」と呼ばれて恐れられていました。このような状況を打破するため、河村瑞賢が江戸幕府に対して灯台の設立を提案した結果、日本初の公設灯台が誕生しました。

その後、約200年にわたって火が焚かれ、この地域の海上交通の安全を見守ってきました。しかしながら、明治時代に入ると洋式の灯台が導入され、この役割は新しい灯台に継承されることとなりました。1873年（明治6年）7月1日には、現在も見ることができる洋式灯台が初めて点灯されました。この灯台は「灯台の父」と称されるリチャード・ヘンリー・ブラントンが設計したもので、国産の赤煉瓦が使用されています。竣工式には西郷隆盛など当時の政界の重要人物が参加しました。

1959年（昭和34年）7月まで灯台には職員が常駐し運営されていましたが、その後無人化されました。そして1964年（昭和39年）には、旧退息所が博物館明治村に移築され、1968年（昭和43年）4月25日に国の重要文化財として認定されました。さらに2009年2月には近代化産業遺産に指定され、2010年には登録有形文化財に登録されています。また、2013年には新しいLED灯器に変更され、2022年9月には再度国の重要文化財として認定されました。

交通アクセス

菅島灯台へは、鳥羽市営定期船乗り場から菅島行きの船を利用することができ、所要時間は約20分です。船を降りた後は徒歩で20分ほどの距離ですので、訪れる際は事前に足元を確認しながらの移動をおすすめします。

周辺の魅力

菅島灯台の周辺は、自然豊かな伊勢志摩国立公園に属し、伊良湖水道を見渡せる素晴らしい景観が広がっています。また、近隣には神島や答志島といった美しい島々もあり、周遊するのも楽しい人気のスポットです。灯台の訪問を通じて、長い歴史と海に守られた文化を感じながら、周囲の壮大な自然を堪能することができるでしょう。

灯台は、その立地だけでなく、その背後にある深い歴史にも魅了される存在です。訪れることで、江戸時代から続く海の歴史と人々の生活の息吹を感じることができるでしょう。

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