伊勢志摩国立公園

伊勢志摩国立公園

伊勢志摩国立公園は、三重県の志摩半島一帯に位置する国立公園で、1946年11月20日に指定されました。この公園は、複雑に入り組んだリアス式海岸と温暖な気候が生み出す豊かな自然が特徴です。英虞湾、的矢湾、五ヶ所湾など、深い入り江が点在し、変化に富んだ海岸線が美しい景観を形成しています。

特徴

地形: リアス式海岸が特徴で、海食崖や隆起海食台地など、多様な海岸地形が見られます。これらの地形は、長年の自然の力によって形成され、独特の景観を作り出しています。

植生: 内陸部には、伊勢神宮の宮域林として知られるジングウスギや常緑広葉樹、針葉樹が混ざり合った森林が広がります。また、「鬼ヶ城暖地性シダ群落」や「細谷暖地性シダ群落」など、貴重なシダ植物の群落も存在し、豊かな自然が残されています。

動物: 山中にはシカ、イノシシ、ニホンザルなどの野生動物が生息しており、道路沿いでこれらの動物に遭遇することもあります。沿岸部では、ハマユウやハマナデシコなどの海浜植物が見られ、ウミネコやセグロカモメなどの海鳥が飛び交います。

歴史

伊勢志摩国立公園は、戦前に鳥羽と志摩が吉野熊野国立公園の区域拡大を求めたことが始まりです。当初は独立した志摩国立公園として計画されましたが、太平洋戦争の激化により一時頓挫しました。戦後、厚生省が国立公園事務を再開し、GHQによる神宮の解体を危惧した地元住民の働きかけにより、伊勢神宮の宮域林を含む範囲が追加され、現在の伊勢志摩国立公園として指定されました。この際、鳥羽・志摩では、真珠の主要産地であることをアピールするためにGHQ要人の夫人へ真珠のネックレスなどを贈与したというエピソードも残っています。

面積と所有

公園の総面積は74,644ヘクタールで、そのうち陸域が55,544ヘクタール、海域が19,100ヘクタールです。特筆すべきは、その99.7%が私有地であることで、日本の国立公園の中でも非常に高い割合を占めます。これは、公園区域が人々の生活圏と密接に結びついていることを示しています。

保護地域

公園内には、特別保護地区、第1種特別地域、第2種特別地域、第3種特別地域、普通地域が設けられ、自然環境の保護に努められています。しかし、普通地域の割合が最も高く、全体の68.5%を占めています。これは、国立公園でありながら、地域住民の生活や産業活動も考慮する必要があることを示しています。

主な湾と島

公園内には、以下のような湾や島があります。

湾: 鳥羽湾、生浦湾、的矢湾、英虞湾、五ヶ所湾、贄湾、神前湾
島: 神島、答志島、菅島、坂手島、大築海島、小築海島、渡鹿野島、間崎島、賢島、多徳島、横山島、和具大島、矢取島、見江島

これらの湾や島は、それぞれ独特の景観を持ち、観光客を魅了しています。

岬と灯台

公園内には、以下のような岬と灯台があります。

岬: 神前岬、鎧崎、安乗崎、大王崎、麦崎、御座岬
灯台: 大王埼灯台、安乗埼灯台

これらの灯台は、航海の安全を守るとともに、美しい景観の一部として親しまれています。

展望台

公園内には、以下の展望台があり、美しい景色を一望できます。

太平洋側: 朝熊山頂展望台、日和山展望台、鳥羽展望台、崎山公園、南海展望台、鵜倉園地
内海側: 横山展望台、西山展望台、登茂山展望台、桐垣展望台

特に、横山展望台からは、英虞湾の美しい景観を望むことができます。

関連市町村

伊勢志摩国立公園は、以下の市町村にまたがっています。

伊勢市
鳥羽市
志摩市
度会郡南伊勢町

観光地

公園内には、以下のような観光地があります。

伊勢神宮
二見浦
鳥羽城跡
御座白浜海水浴場
国府白浜
伊勢夫婦岩ふれあい水族館シーパラダイス
鳥羽水族館
志摩マリンランド
志摩スペイン村
ミキモト真珠島
パールロード
鳥羽市立海の博物館
NEMU RESORT
朝熊山（伊勢志摩スカイライン）
青峰山
横山展望台
賢島
伊勢志摩サミット記念館

これらの観光地は、自然だけでなく、歴史や文化も体験できる場所として人気があります。

まとめ

伊勢志摩国立公園は、美しい自然景観と豊かな歴史文化が共存する場所です。複雑な海岸線、多様な動植物、そして地域の人々の生活が一体となり、独特の魅力を放っています。訪れる人々は、この公園で自然の美しさ、歴史の深さ、そして人々の温かさに触れることができるでしょう。

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