菅沼定実

菅沼定実（すがぬま さだざね）は、江戸時代前期の交代寄合で、三河国新城藩の初代藩主です。通称を主水といい、摂津守にも任じられました。彼は、丹波国亀山藩主であった菅沼定芳の子として生まれました。

生い立ちと家督相続

定実の母は、父・定芳の継室である三次一任の養女（一任の孫娘）です。初めは定治と名乗っていましたが、後に定実と改名しました。彼は菅沼定昭の異母弟にあたります。丹波亀山藩では、総石高4万1100石のうち2000石を分与されていましたが、異母弟の定賞にも1100石を分与しています。

正保4年（1647年）9月21日、兄で藩主の菅沼定昭が亡くなりました。定昭には嗣子がいなかったため、弟である定実たちも後継者として登録されていませんでした。そのため、菅沼家は一時的に改易処分となりました。

新城藩主としての復帰

しかし、徳川家康を支え続けた祖父・菅沼定盈の功績が幕府に認められ、定実は特例として1万石を拝領し、旧領である三河国設楽郡新城に封じられました。この際、1万石のうち7000石を自領とし、残りの3000石を弟の定賞に分与したため、大名ではなく交代寄合となりました。

文化人としての活躍

定実は茶道にも深く精通しており、縁故の吉田藩主小笠原家の茶道指南であった山田宗徧から宗徧流の茶道を学びました。その腕前は宗徧から四方庵の庵号を譲り受けるほどでした。新城陣屋と菩提寺には茶室を設けており、茶人としての側面も持ち合わせていました。

新城の発展への貢献

新城に封じられた定実は、風流を愛する人物だったと伝えられています。新城城に近い豊川の畔に桜の木を植えさせ、その場所が現代では桜淵公園として知られるようになりました。桜淵公園は、奥三河地方における桜の名所として多くの人に親しまれています。

このように、菅沼定実は武士としての功績だけでなく、文化人としても優れた人物であり、新城の発展に大きく貢献しました。

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