菅生地区 (倉敷市)

倉敷市菅生地区

菅生地区は、倉敷市の北部に位置し、かつての都窪郡菅生村の範囲にほぼ相当します（青江を除く）。倉敷市立菅生小学校の学区であり、生坂・西坂・三田・浅原・西岡・宮前・祐安・青江の各地区から構成されています。

歴史

1889年（明治22年）に生坂・西坂・浅原・子位庄・三田の5つの村が合併して菅生村が誕生し、役場は西坂に置かれました。1951年（昭和26年）に倉敷市に編入合併されています。

かつては稲作やイグサ栽培が盛んでしたが、国道429号沿いや山陽自動車道倉敷インターチェンジ周辺に大規模な団地が造成されたことで人口が急増し、郊外型のベッドタウンとして発展しました。水田への用水確保のために用水路に設置される水車は、菅生地区の象徴的な風景でしたが、近年ではその存続が危ぶまれています。

地名の由来は、延喜式内社の有力な論社である菅生神社にちなんでいます。

地理

地域の北部は福山丘陵が連なり、総社市との境界となっています。中南部は倉敷平野の一部であり、平坦な地形が広がっています。南部は倉敷市万寿、東部は中庄・庄、西部は中洲と隣接しています。

古代には、この地域は窪屋郡阿智郷の一部であったと考えられています。その後、万寿庄・阿智庄・子位庄などの荘園の一部となりました。かつては吉備の穴海と呼ばれる海域の一部であり、宇喜多秀家の時代に干拓が行われ、陸地が拡大しました。

産業

かつては米、イグサ、小麦などの農業が盛んでしたが、現在は衰退しています。福山丘陵の南麓では、ブドウなどの果樹栽培が行われています。近年では、都市計画道路三田五軒屋海岸通線沿いにロードサイド店舗が立ち並び、特に飲食店が多く集まるエリアとなっています。中庄駅周辺は学園地区・商業地区として発展し、周辺地域を含めた新たな街が形成されつつあります。

各地区の特徴

生坂: 古代の阿智郷の東部。明治初期には生坂藩が置かれました。
西坂: 菅生村役場が置かれた地域。倉敷インターチェンジがあり、交通の要衝となっています。
三田: 菅生地区の最東端。中庄駅に近く、市街地が広がっています。
浅原: 安養寺の門前町として発展した、山あいの地区。かつては「朝原温泉」という温泉地がありましたが、現在は閉鎖。
西岡: 縄文時代の貝塚が発見されている、歴史のある地域。菅生神社の社領であったことから「子位庄」とも呼ばれていました。
宮前: かつては阿知の海の一部でしたが、干拓により陸地化しました。幹線道路沿いに郊外型店舗が多く立地しています。
祐安: 菅生神社が鎮座する地域。かつては青江派の刀工が拠点としていた場所でもあります。夏には水車の風景が見られます。
青江: もとは福山丘陵の一部である青江山の周辺地域を指す名称。中世の刀工・青江派にゆかりがあります。旧中洲町域。

交通

国道429号が南北に縦断し、山陽自動車道が東西に横断しています。倉敷インターチェンジや倉敷ジャンクションがあり、道路交通の要衝となっています。

主要施設

倉敷市立菅生小学校（西坂）
川崎医科大学附属高等学校（生坂）
菅生神社（祐安）
安養寺（浅原）

参考文献

『岡山県市町村合併誌　市町村編』（昭和35年）岡山県
巌津政右衛門『岡山地名事典』（1974年）日本文教出版社
岡山県大百科事典編集委員会『岡山地名事典』（1979年）山陽新聞社
渡辺光・中野尊正・山口恵一郎・式正英『日本地名大辞典2 中国・四国』（1968年）朝倉書店
下中直也『日本地名大系第三四巻 岡山県の地名』（1988年）平凡社
黒田茂夫『県別マップル33 岡山県広域・詳細道路地図』（2010年）昭文社

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