菊の間

菊の間について

菊の間は、江戸城の重要な一部を成す表座敷の一つです。元治元年の仮普請図によると、南側は廊下を挟んで紅葉の間に、北側は雁の間にそれぞれ隣接していました。東側は表右筆所に近く、西側は入側を隔てて雨落の向こうに松の廊下が遠くに見えました。

名称の由来

この部屋の名前は、室内の襖に描かれた絵柄、すなわち籬（まがき）に咲き乱れる菊の絵に由来します。この美しい襖絵が、部屋の格式と美しさを象徴していました。

役割と使用

菊の間は、主に江戸幕府成立後に取り立てられた、城を持たない譜代大名が将軍との謁見を待つ際に詰めました。また、譜代大名や親藩大名が創設した支藩の当主たちも、この場所で謁見の機会を待ちました。

さらに、小大名、詰衆の嫡子、大番頭、書院番頭、小姓組番頭など、幕府の要職にある人々が登城の際の詰所として使用しました。これらの役人たちは、それぞれの役割に応じて、菊の間とその周辺の空間を使い分けていました。特に、詰衆並の人々は、菊の間の縁頬を詰所としていました。

菊の間は、単なる待機場所としてだけでなく、江戸幕府の秩序と階級を示す重要な空間でした。ここに詰める人々は、それぞれの身分や役割に応じて、幕府内での地位を象徴的に示していました。

関連事項

• - 伺候席: 大名や役人が将軍に謁見する際に待機する場所全般を指します。菊の間もその一つとして、江戸城内における重要な伺候席でした。

菊の間は、その美しい装飾と、そこに集う人々の格式の高さによって、江戸城の歴史と文化を今に伝える貴重な場所です。

もう一度検索