菊名貝塚

菊名貝塚：縄文時代の生活を今に伝える貴重な遺跡群

菊名貝塚は、神奈川県横浜市港北区菊名（旧小字宮谷）の宮谷貝塚と、鶴見区上の宮、東寺尾に点在する貝塚群の総称です。現在では主に菊名５丁目内の埋蔵文化財包蔵地（県遺跡番号：港北区No.195、市遺跡番号：港北区No.198）の範囲を指します。

発見の経緯と調査

宮谷貝塚は、1929年（昭和4年）に土地所有者が農作業中に偶然発見されました。地下に堆積した貝層が確認されたことがきっかけとなり、その存在が明らかになりました。その後、1937年（昭和12年）に運輸省（現在の国土交通省）の寮が建設されることになり、それに伴って本格的な調査・発掘が開始されました。

発掘調査の成果と特徴

発掘調査の結果、菊名貝塚からは様々な遺物が出土しました。特に注目されるのは、日本犬、とりわけ小型犬の骨が多数発掘されたことです。これは、当時の人々と犬との関わりを示す貴重な資料となっています。

また、出土した土器の分析から、縄文早期から前期にかけての土器の変化を詳細に辿ることができるとされています。土器の様式変遷を理解する上で、非常に重要な資料群を含んでいることがわかっています。

菊名貝塚の意義

菊名貝塚は、縄文時代の生活様式や文化、自然環境を研究する上で重要な遺跡です。出土した遺物や貝層の分析を通して、当時の人々の食生活、生業、交易、精神文化など、様々な側面を垣間見ることができます。

特に、小型犬の骨の出土は、当時の人々と犬との関係性を具体的に示すものとして、非常に興味深い点です。犬は、狩猟のパートナーとして、あるいは番犬として、人々の生活に深く関わっていたと考えられます。

周辺の遺跡との関連

菊名貝塚は、山王山遺跡、称名寺貝塚、野島貝塚など、周辺地域に点在する他の縄文時代の遺跡とも関連が深いと考えられています。これらの遺跡群を合わせて研究することで、当時の社会や文化の広がりをより深く理解することができます。

現代における保存と活用

菊名貝塚は、横浜市の貴重な文化財として保護されています。発掘調査で得られた資料は、博物館や研究機関で保管・研究されており、一般公開もされています。これらの資料を通して、縄文時代の歴史と文化に触れることができます。

まとめ

菊名貝塚は、縄文時代の横浜における人々の生活を伝える、非常に重要な遺跡です。今後の研究によって、さらに多くのことが明らかになることが期待されます。

参考文献

『日本歴史地名大系』（平凡社）
桑山龍進 1980 『菊名貝塚の研究』菊名貝塚研究会 NAID BN02718671
横浜市教育委員会 2004 『横浜市文化財地図』NAID BB23262051

関連項目

山王山遺跡
称名寺貝塚
野島貝塚
縄文時代の遺跡一覧
日本の貝塚一覧

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