菊月 (初代神風型駆逐艦)

菊月 (初代)

「菊月」（きくづき、または、きくつき）は、かつて大日本帝国海軍が運用していた駆逐艦の一隻です。初代神風型の29番艦として建造されました。同名艦として、後の睦月型駆逐艦に「菊月」が存在するため、本艦は初代であることを明確にするため、「菊月 (初代)」や「菊月I」などと表記され区別されます。

艦歴

本艦の建造は、明治期に進められました。明治38年（1905年）9月27日、製造番号29号として「菊月」と命名されます。翌明治39年（1906年）3月2日には、浦賀船渠にて起工。船体は順調に建造され、明治40年（1907年）4月10日に進水式を迎えました。同月25日付けで駆逐艦として類別され、同年9月20日には全ての工事を終え竣工に至りました。

竣工後、大日本帝国海軍の駆逐艦として任務に就き、第一次世界大戦期には、遠く南方、具体的にはシンガポール方面における警備活動に従事しています。

時代が進み、大正13年（1924年）12月1日、本艦は駆逐艦籍から外れ、掃海艇として新たに類別変更されました。その後、昭和3年（1928年）8月1日、日本海軍が新たに建造した第31号駆逐艦に対し、睦月型駆逐艦として「菊月」の名を付与したことに伴い、既存の掃海艇「菊月」であった本艦は、「第十二号掃海艇」と名称を改めました。

最終的に、昭和5年（1930年）6月1日付けで海軍籍から除籍されました。除籍後の本艦は、「廃駆逐艦第12号（2代目）」という仮称を与えられています。

歴代艦長

本艦の指揮を執った歴代の艦長（駆逐艦長、掃海艇長）は以下の通りです。記載は『日本海軍史』などの公的記録に基づいています。

駆逐艦長

町田亀彦 大尉：明治40年（1907年）8月5日 - 明治41年（1908年）12月3日
岡田政次郎 大尉：明治41年（1908年）12月3日 - 明治42年（1909年）2月1日
（兼）伊東真三郎 大尉：明治42年（1909年）2月1日 - 明治42年（1909年）2月20日
（兼）山本節介 大尉：明治42年（1909年）2月20日 - 明治42年（1909年）10月1日
（兼）柘植道二 大尉：明治42年（1909年）10月1日 - 明治42年（1909年）12月1日
徳田伊之助 大尉：明治42年（1909年）12月1日 - 明治44年（1911年）5月23日
中村淳一 大尉：明治44年（1911年）5月23日 - 大正元年（1912年）10月5日
小栗信一 大尉：大正元年（1912年）10月5日 - 大正2年（1913年）12月1日
長井実 大尉：大正2年（1913年）12月1日 - 大正4年（1915年）9月8日
木田新平 大尉：大正4年（1915年）9月8日 - 大正5年（1916年）9月1日
生島賢二 大尉：大正5年（1916年）9月1日 - 大正6年（1917年）12月1日
松川晃 大尉：大正6年（1917年）12月1日 - 大正8年（1919年）12月1日
松岡弘人 大尉：大正8年（1919年）12月1日 - 大正9年（1920年）7月15日
志賀忠一 大尉：大正9年（1920年）7月15日 - 大正11年（1922年）8月19日
野末信次郎 大尉：大正11年（1922年）8月19日 - （以降の期間は資料によって明確でない可能性があります）

掃海艇長

多田武雄 大尉：大正13年（1924年）12月1日 - 大正14年（1925年）12月1日
大橋硠 大尉：大正14年（1925年）12月1日 - 昭和2年（1927年）12月1日
荘司喜一郎 大尉：昭和2年（1927年）12月1日 - 昭和4年（1929年）3月15日
佐々木健爾 大尉：昭和4年（1929年）3月15日 - 昭和4年（1929年）9月5日
（兼）上田光治 大尉：昭和4年（1929年）9月5日 - 昭和5年（1930年）1月20日

• ---

参考文献

国立国会図書館デジタルコレクション
海軍大臣官房編纂資料（海軍制度沿革など）
アジア歴史資料センター公開資料
海軍歴史保存会『日本海軍史』
片桐大自『聯合艦隊軍艦銘銘伝』
『世界の艦船増刊第107集 日本駆逐艦史』
* その他、公式記録及び信頼できる文献に基づいています。

もう一度検索