菊竹清訓

菊竹 清訓（きくたけ きよのり）

菊竹清訓は、1928年4月1日に福岡県久留米市で生まれた日本の建築家である。早稲田大学の工学部を卒業後、1950年から建築界でのキャリアをスタートさせ、数々の革新的なプロジェクトに関わった。

教育と初期の経歴

高等学校を経て1944年に早稲田大学に入学した菊竹は、学生時代にすでに建築デザインに関する重要な業績を残していた。1945年には久留米駅舎の設計コンペで1等を獲得し、1948年には広島平和記念カトリック聖堂のコンペで3等に入賞するなど、若くして才能を発揮した。1950年に早稲田大学理工学部建築学科を卒業した後、竹中工務店で勤務し、その後村野・森建築設計事務所に移る。1953年には自身の設計事務所を設立。

メタボリズムと建築界の貢献

1960年代後半から1970年代、菊竹は『代謝建築論 か・かた・かたち』を掲げ、黒川紀章らとともにメタボリズムという新しい建築思想を提唱した。この思想は、建築と都市の新陳代謝や循環する更新を重視したもので、未来の都市づくりに強く影響を与えた。1995年には早稲田大学から博士（工学）の学位を取得し、同大学の講師や千葉工業大学の教授としても教鞭を執った。また、1993年から1998年にかけて早稲田大学理工学総合研究センターの客員教授も務めた。2000年にはユーゴスラビア・ビエンナーレで「今世紀を創った世界建築家100人」に選出され、その業績が国際的にも高く評価された。

博覧会と地域社会への影響

菊竹の影響力は国際博覧会にも及んでおり、1970年の大阪万博では「エキスポタワー」を設計し、1975年の沖縄海洋博では「アクアポリス」を手がけた。さらに、1985年のつくば科学万博では会場計画に関与し、2005年の愛知万博では総合プロデューサーとしてその計画を担当した。地方博覧会では1988年のなら・シルクロード博覧会でハード担当プロデューサーを務め、その地域を活性化するために尽力した。

著作と受賞歴

彼の著書には、代謝建築論に関するものをはじめさまざまなテーマが含まれており、建築界の発展に寄与してきた。その業績に対しては多数の賞を受けており、1963年には第15回日本建築学会賞作品賞を、1970年には日本建築学会特別賞を受賞し、さらに1975年には久留米市から文化功労賞を贈られた。特に彼の設計した出雲大社庁の舎は、数々の賞を受賞するなど評価が高い。

晩年とその影響

最後は2011年12月26日に心不全により83歳で亡くなるまで、日本の建築界に大きな影響を与え続けた菊竹。彼の事務所での経験を持つ伊東豊雄は、菊竹の創造力と独特の視点が今後の建築家たちに与える影響が計り知れないと評している。

まとめ

菊竹清訓は、社会の変化に応じた柔軟なデザインと理念を持ち続け、日本の建築界において非常に重要な人物であった。彼の残した作品や思想は、今もなお多くの建築家やデザイナーに影響を与え続けている。

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