菊間崇祠

八王子実践高校バレーボール部を50年以上率いた名将、菊間崇祠氏逝去

2024年12月6日、八王子実践高等学校女子バレーボール部の元監督、菊間崇祠氏（きくま たかし、旧名：卓）が90歳で亡くなりました。訃報は娘さんの菊間千乃さん（元フジテレビアナウンサー、弁護士）のSNSによって伝えられました。

菊間氏は1934年3月20日、東京府東京市池袋に生まれました。中央大学法学部卒業後、1958年に八王子実践高校に社会科教員として着任。バレーボール部の顧問を引き受け、以後50年以上監督としてチームを率いました。

その指導期間中に、三屋裕子さん、大林素子さん、福田記代子さん、狩野舞子さんなど、数多くの日本を代表するバレーボール選手を育成したことで知られています。指導においては、選手たちに厳しく、時にスパルタと評される厳しいトレーニングを課す一方、「求めよ、されば与えん」という信念を貫き通しました。大林素子選手が自主的にレシーブ練習を申し出たことをきっかけに、猛特訓が始まったという逸話も残されています。

しかし、その指導方法は常に賛否両論を呼びました。特に、根性論を重視した指導スタイルは、バレーボール界の指導思想の変化と対立することもありました。前バレーボール全日本女子チーム監督の柳本晶一氏が根性論を撤回した際には、菊間氏はそれを強く批判したと言われています。

2012年に監督を退任した後も、バレーボール界に大きな影響を与え続けました。2024年秋には脚を骨折し、入院手術を受けましたが、その後誤嚥性肺炎を発症し、帰らぬ人となりました。

菊間氏の私生活は、バレーボールに捧げられたものでした。奥様は八王子実践高校の元部員（マネージャー）で、菊間氏はバレー部合宿所に寝泊まりし、帰宅するのは月に一度あるかないかだったそうです。その献身的な姿勢からも、バレーボール部に対する並々ならぬ情熱がうかがえます。

また、菊間氏は『道は開ける　現代っ子を「やる気」にさせる法』（ふこく出版、2000年）を著し、自身の指導論や教育観を世に問いました。本書には、長年にわたる指導経験から得た、若者への指導、教育に関する知見が凝縮されています。

菊間崇祠氏の功績は、育成した多くのプロ選手や、バレーボール界全体への多大なる貢献によって示されています。その厳格ながらも情熱的な指導は、多くのバレーボール関係者や選手たちに深い影響を与え続け、日本の女子バレーボール界の発展に大きく貢献したことは間違いありません。ご冥福をお祈りいたします。

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