菌根

菌根の概要

菌根（きんこん、英: mycorrhiza）は、維管束植物の根部で形成される菌と植物の共生構造です。
この相互関係は、植物の生育にとって非常に重要です。菌根を構成する菌は、一般に「菌根菌」と呼ばれ、維管束植物の約90%がこの共生を持っています。また、根をもたないコケ[[植物]]においても、同様の共生関係が確認されることがあります。

19世紀にドイツの研究者アルバート・ベルンハルト・フランクがこの概念を提唱し、その後、20世紀の中頃には植物に与える重要性が広く認識されるようになりました。菌根は、植物に栄養を供給し、特に無機塩類（窒素やリンなど）を効果的に吸収できるよう支援します。これは、植物が光合成を通じて生成した有機物を菌根菌に供給することによって成り立っています。

菌根のタイプ

菌根はその特性や分類群に基づいて、多数の型に分類されます。代表的なものには以下のような種類があります：

• - アーバスキュラー菌根
• - 外生菌根
• - ツツジ型菌根
• - ラン型菌根

1. アーバスキュラー菌根（AM）

アーバスキュラー菌根は、根の細胞内に菌が侵入し、栄養交換用の特殊な構造を形成します。この型の菌根は、約80%の維管束植物に見られ、共生する菌根菌は、主に接合菌に分類されるグロムス類です。

2. 外生菌根（EcM）

外生菌根は、菌糸が根を覆う形で形成され、物質交換は菌の表面で行われます。マツ科やブナ科の植物に広く見られるこの型の菌根では、木本植物が主に関与しています。

3. ツツジ型菌根

ツツジ型菌根は特にツツジ科の植物で見られる特殊な菌根で、根にある細い構造が特徴です。これにより、植物の栄養供給が行われます。

4. ラン型菌根

ラン型菌根は、ラン科植物に特異的で、根の細胞内に菊状の構造を形成します。この型では、植物が菌根菌に強く依存しています。

菌根の機能

一般に、植物は菌根菌から無機栄養分や水を得る一方、菌根菌には共生の恩恵として光合成生成物を供給します。これにより、植物は成長と発育のための正確な栄養を得ることができます。この関係は多くの場合相利共生であり、互いに利益をみる形で進行します。

また、菌根菌は病原菌に対する抵抗力を高めたり、環境ストレスに対する適応力を向上させることもあります。菌根の存在は、特に農業や森林生態系において重要な役割を果たし、作物の生育を助けるため、広く応用されています。

菌根の起源と進化

菌根は、陸上植物の進化の初期において重要な役割を果たしました。《デボン紀》の初期には、すでに菌根に似た構造が見つかっており、これらの共生が植物の進化に深く関与していたことが示唆されています。特に、グロムス類との共生が広く見られ、これにより陸上植物の繁栄と多様化が進んだとされています。

結論

菌根は植物と菌類の間に築かれる重要な共生関係であり、このメカニズムは植物の生育、栄養吸収、病害抵抗性の向上に主要な役割を果たします。菌根は多様な型を持ち、植物の環境への適応や農業における実用価値を高める要因となっています。こうした特徴から、菌根は更なる研究と理解が求められる重要な分野です。

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