菩提樹 (映画)

菩提樹

『菩提樹』（ぼだいじゅ、原題：独: Die Trapp-Familie）は、1956年に公開された西ドイツ映画で、トラップ一家の実話を基にした作品です。この映画の邦題は、劇中に流れるシューベルトの歌曲から名付けられています。映画は、マリア・フォン・トラップの自叙伝『トラップ・ファミリー合唱団物語』のオーストリア編を原作としており、トラップファミリーがアメリカに亡命するまでの道のりを描いています。この作品は、後に名作として知られるミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』の前段階とも言えるものであり、史実に忠実な内容になっています。

概要

物語は、若き見習い修道女のマリアが、ザルツブルクのノンベルク修道院学校で教鞭を執るところから始まります。彼女は、規則を無視した行動が目立つ自由な発想の持ち主であり、教会の厳格な生活に馴染めずにいました。そんな彼女に修道院長が、新たに家庭教師としてトラップ男爵家に赴任するよう指示します。

トラップ家に着いたマリアは、厳しい規律の中で育った男爵の子供たちに驚くと同時に、彼らの遊び心を引き出そうと奮闘します。ゲオルク・フォン・トラップ男爵は最初、彼女の教育方針に反発しますが、子供たちの歌声に心を打たれて彼女を解雇することを思い直します。クリスマス、男爵の婚約者イヴォンヌ姫が屋敷に現れると、彼女の言葉をきっかけにゲオルクもマリアへの愛情に気づくことになります。

愛と別れ

1930年代、状況は厳しさを増し、経済危機に直面していたトラップ家。ゲオルクは友人である銀行家グルーバーを救うために、財産の大半を支援しますが、次第にトラップ家は困難に直面します。教会の専門家フランツ・ヴァスナー神父がトラップ一家の合唱団を指導することになると、子供たちの歌声が徐々に広がりを見せますが、ナチスの影響で運命が大きく変わることとなります。

ナチスの勢力が拡大する中で、トラップ家は避けられない運命を迎えます。男爵は執事からの提案を拒否し、ナチスに屈することを選択しません。一家は、祖国を愛する心から逃れる決意をし、夜中に屋敷を後にすることに。心温まるシーンもあれば、緊迫した状況も描かれ、観客は感情移入せずにはいられません。

亡命と新たな希望

ニューヨークにたどり着いたトラップ一家は、エリス島の移民局で新たな人生を始める許可を求めます。しかし、様々な試練が待ち構えていました。ゼーミッシュのボスが彼らの芸術に魅力を感じず、保障人になることを拒否しますが、マリアの願いで一家は合唱を披露します。この瞬間、家族がより一層強い絆で結ばれることが強調されています。

トラップ一家は、音楽の力によって新たな道を切り開くことになります。『菩提樹』は、愛、勇気、そして音楽の力を通じて、逆境に負けず新しい未来を見出す一家の姿を描いた心温まる物語です。この作品は、観客に感動とインスピレーションを与え続けています。

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