萩原寛

概要

萩原寛（はぎはら ひろし）は、1923年1月8日に台湾の台南州嘉義市で生まれたプロ野球選手であり、のちに審判員としても活躍しました。彼は外野手としての能力を持ち、右投右打の選手でした。プロキャリアの始まりである1947年までは呉新亨という名前でプレーし、1948年には呉元敞に改名、その後1949年からは萩原寛という名前で知られるようになりました。

来歴

台湾の嘉義農林学校を卒業した後、1943年に日本へ渡り、大和軍に入団しました。この時期は呉新亨という名前で活動しており、チームが解散する1944年までプレーを続けました。その後、東京巨人軍に移籍し、そこで中堅手として二番打者として活躍しました。1944年には打率が.326でリーグ4位、19盗塁という成績を記録し、盗塁王に輝きました。

戦後も巨人に所属し続け、中堅手として一番打者を務める一方、1946年には打率.285を記録しました。1949年から1950年には結婚を機に名前を改め、萩原寛として再出発しました。この2年間は打率.270以上をマークし、20盗塁以上を記録するなど好成績を収めました。しかし、1951年には南村不可止や与那嶺要の加入により出場機会が次第に減少しました。

それでも、1952年の日本シリーズには代走で出場し、チームの連覇に貢献しました。同年の日本シリーズが終了した後、彼は現役を引退しました。

審判員としてのキャリア

引退後、萩原は1955年にパシフィック・リーグの東京審判部に入局し、1980年まで審判員として活動しました。1977年からは審判員の袖番号が導入され、彼も引退までに20もの番号を使用しました。1981年には東京審判部の指導員を一時期務めていました。通算で2311試合に出場し、その後多くの後進たちに道を譲りました。

プレースタイル

選手時代の萩原は俊足を活かした優れた打撃が特徴でした。しかし、身体が硬かったため、時にはプレーに不器用さが目立つこともありました。特に捕球後に正確でない判断で返球することがあり、そのために「珍プレー」として語られることも少なくありませんでした。三原脩は彼を「決断が鈍い」と評し、起用に苦労することもあったようです。

面白いエピソード

ある大阪遠征の際、チームメイトから素うどんを食べに行こうと誘われた萩原は、台湾から日本に来たばかりで日本語に不慣れでした。そのため素うどんの意味を理解せず、「酢が入ったウドンは食べません」とまっすぐに返事をし、周囲を笑わせました。彼のこの率直なやり取りは、チーム内の語らいのネタとしてしばしば楽しまれたといいます。

結び

萩原寛は、生涯を通じてプロ野球界に多大な影響を与え、選手として、また審判員として多くの記憶に残る存在です。1997年9月26日に74歳で亡くなりましたが、彼の野球に対する情熱やユニークなエピソードは、今でも多くのファンに愛されています。

もう一度検索