萬嶽寺

萬嶽寺（ばんがくじ）は、岐阜県中津川市阿木に位置する曹洞宗の寺院です。山号を賀雲山と称し、恵那三十三観音霊場の九番札所として知られています。

歴史

萬嶽寺の起源は、元和年間に観室察公によって賀雲院として建立されたことに遡ります。その後、慶安3年（1650年）に岩村城下盛巌寺の六世住職である在天三龍によって中興され、寺号を賀雲山萬嶽寺と改めました。寺は元禄2年（1689年）に火災に見舞われ、伽藍を焼失しましたが、元禄5年（1692年）に再建されたと考えられています。

本尊として祀られている聖観音菩薩は、慈覚大師の作と伝えられていますが、実際には江戸時代の作であるとされています。この聖観音菩薩は、中津川市の文化財に指定されています。また、寺には大般若経600巻が所蔵されており、その奥書には元禄6年（1693年）の年号と了儀和尚の名が記されています。これにより、堂宇の焼失と再建の歴史が裏付けられます。

山門は文化年間（1804～1817年）に建てられたものであり、現在の梵鐘は昭和27年（1952年）に再鋳されたものです。鐘楼堂は昭和51年（1976年）に再建されています。

観音堂には、馬頭観音菩薩が祀られています。この馬頭観音菩薩は、天正2年（1574年）に武田勝頼の東濃侵攻によって焼討に遭い消失した、根の上高原南麓にあった龍泉寺の本尊を移したものと伝えられています。室町時代の作と推定され、大牛和尚の代にある法印から預かったとされています。この馬頭観音菩薩は、昭和42年（1967年）12月20日に岐阜県の文化財に指定されました。

毎年4月6日には、馬頭観音と豊川咤枳尼天の例祭が執り行われます。また、境内では蓮の鉢植えが多数栽培されており、その美しい姿は訪れる人々の目を楽しませています。

萬嶽寺は、その歴史と文化、そして美しい自然が調和した、訪れる価値のある場所です。

文化財

聖観音菩薩: 中津川市指定文化財
木造馬頭観世音菩薩坐像: 岐阜県指定文化財

参考文献

『中津川市史　中巻Ⅱ』　第五編　近世(二) 第八章　寺社　第二節　寺院　ニ　近世の寺院 萬嶽寺　p1634～p1635　1988年
『恵那郡史』　第八篇　現代　第四十一章　人文の発展(一)　【各宗寺院】　p612～p619　恵那郡教育会　1926年

外部リンク

木造馬頭観世音菩薩坐像　岐阜県ホームページ
曹洞禅ナビ
* 萬嶽寺（Facebook)

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