萬翠荘

萬翠荘について

愛媛県松山市の中心部に佇む萬翠荘（ばんすいそう）は、フランス風の美しい建物で、重要文化財に指定されています。この絵画のような洋館は、松山城のある城山の南側に位置し、松山市の歴史を感じさせる特別な場所です。

歴史的背景

萬翠荘は、1922年に松山藩主の子孫である久松定謨によって建てられました。建物は、愛媛県庁本館なども手掛けた建築家・木子七郎によって設計されています。建物の名前は、定謨の息子で次代当主の久松定武により名付けられました。鉄筋コンクリートで造られたこの館は、松山で最も古い建築とされています。

建築面積は428.78平方メートルで、地下1階、地上2階の構造です。美しい寄棟造の屋根には、スレートや銅板が葺かれ、中央にはマンサード屋根が、東南隅には尖塔が設けられています。これにより、外観に独特の変化が生まれています。

内部の魅力

館内に入ると、正面の車寄から広間に通じる階段があり、東側にはサロンや食堂、そして西側には執事室や配膳室があります。居住空間として使われている2階には、居間や寝室があり、現在は第1〜第7展示室として一般に開放されています。

玄関は大理石で装飾され、玄関ホールの柱は岡山産の万成石（通称紅桜）で作られています。また、正面階段の手すりは一枚のチーク材でできており、各部屋には異なる色合いの大理石で造られた暖炉や水晶のシャンデリアが配されています。特に、踊り場の大窓に広がる海の風景は、グラデーションを施した繊細な色彩のステンドグラスで彩られています。

2010年には、ハワイ製ではなく、木内真太郎によって製作されたことが確認されました。

文化的な役割

萬翠荘は、完成直後から皇族の宿泊地としても使用され、また、社会的な集まりの場としても名士たちが集った場所でもあります。しかし、太平洋戦争の終結後には米軍に接収され、その後も複数の用途で使用されてきました。

1954年からは愛媛県に管理が移り、愛媛県立郷土芸術館として開館。1985年には愛媛県の重要文化財に指定され、現在では一般に公開されています。

アクセスと利用

現地は松山城や愛媛県庁から徒歩数百メートルの距離にあり、約10台の自動車を収容できる駐車場も完備しています。伊予鉄道の市内線の最寄り駅からも近いため、訪問しやすい立地が魅力です。現在は、展示会やイベントの場としても利用されており、定期的に一般公開されています。

ラジオ番組

万翠荘に関連したラジオ番組「萬翠荘アワー」は、2011年から南海放送で放送され、毎週日曜日に放送中です。この番組では、館の魅力や開催されるイベントなどが紹介されています。

開館情報

開館時間は9:00から18:00までで、月曜日が休館日です。入館料は大人300円、小人100円で、イベントによっては無料で入場できることもあります。

秋には特に美しい景色を楽しむことができる萬翠荘。歴史と文化が交差するこの場所で、特別な時間を過ごしてみませんか？

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