落とし子の戦い

『落とし子の戦い』詳細解説

『落とし子の戦い』は、HBOの人気ファンタジー・ドラマシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン6の第9話であり、物語の重要な転換点となるエピソードです。デイヴィッド・ベニオフとD・B・ワイスが脚本を手掛け、ミゲル・サポチニクが監督を務めました。このエピソードは、二つの主要な戦いを軸に展開します。

ミーリーンでの戦い

ミーリーンでは、デナーリスが親方たちとの戦いを繰り広げます。親方たちはミーリーンを包囲し、デナーリスに降伏を迫ります。しかし、デナーリスは自らのドラゴン、ドロゴンを操り、他の二頭のドラゴンも解放して、圧倒的な力で敵の艦隊を焼き払います。さらに、ダーリオ・ナハーリス率いるドスラク人が〈ハーピーの息子たち〉を制圧します。デナーリスは親方たちに降伏を要求し、ティリオンの進言により、報復を避けつつ新たな秩序を築きます。

この戦いの後、シオンとヤーラがデナーリスに謁見します。ヤーラは叔父のユーロンから鉄諸島を取り戻すため、デナーリスに同盟を提案し、鉄水軍100隻を提供すると約束します。デナーリスはヤーラの忠誠心と鉄諸島の独立を認め、略奪行為を禁じた上で同盟を結びます。この同盟は、デナーリスがウェスタロスへの遠征を視野に入れていることを示唆しています。

ウィンターフェルでの戦い

一方、北では、ジョン・スノウがラムジー・ボルトンとの壮絶な戦いに臨みます。ジョンは、サンサ、トアマンド、ダヴォス、リアナ・モーモントらと共に、ボルトン軍との決戦に挑みます。ラムジーはジョンを侮辱し、リコンを人質にしてジョンをおびき寄せ、戦いを挑発します。

ジョンは自軍の劣勢を理解しつつも、リコンを救うために戦う決意を固めます。しかし、ラムジーはリコンを射殺し、ジョンは怒りで我を忘れて敵陣に突撃します。ダヴォスが騎兵隊を率いてジョンを援護しますが、ラムジーの軍は圧倒的な数でジョン軍を包囲します。ジョン軍は危機に瀕し、絶体絶命の状況に追い込まれます。

しかし、サンサの密かな要請に応じて、ピーター・ベイリッシュ率いる谷間の軍勢が戦場に到着し、戦況は一変します。谷間の騎兵隊はラムジー軍を圧倒し、ジョン軍を救出します。乱戦の中、トアマンドがスモールジョン・アンバーを倒し、ジョン、トアマンド、巨人たちがラムジーを追撃します。ラムジーはウィンターフェル城内に逃げ込みますが、巨人の活躍によって城門は破られ、ジョン軍が城内へと突入します。

ジョンはラムジーと一騎打ちを繰り広げ、勝利を収めますが、ラムジーを殺すことを躊躇します。結局、サンサがラムジーを牢に監禁し、彼の猟犬たちにラムジーを食い殺させるという、残酷な復讐を果たします。この戦いで、ウィンターフェルはスターク家の手に戻り、ボルトン家の旗はスターク家のダイアウルフの旗に置き換えられました。

製作の裏側

このエピソードの脚本は、原作者ジョージ・R・R・マーティンとの話し合いに基づき、未刊の原作『冬の狂風』の内容を取り入れています。特に、〈落とし子の戦い〉のシーンは、カンナエの戦い、南北戦争、アジャンクールの戦いなど、歴史的な戦闘からインスピレーションを得ています。また、黒澤明監督の映画『乱』も参考にされています。

撮影には、25日間、500人のエキストラ、600人のスタッフ、70頭の馬が動員され、CG技術によって、500人のエキストラが8000人の軍勢に見えるように加工されました。ミーリーンでのドラゴンの戦闘シーンは、第二次世界大戦中のスーパーマリン スピットファイアの空中戦闘を参考にしています。

視聴率と評価

『落とし子の戦い』は、766万人の視聴者を集めました。また、第68回プライムタイム・エミー賞では、視覚効果賞、メイクアップ賞、編集賞、音響賞、監督賞、脚本賞を受賞するなど、高い評価を得ました。ジョン・スノウ役のキット・ハリントンも助演男優賞にノミネートされ、彼の演技も注目を集めました。

まとめ

『落とし子の戦い』は、ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の中でも特に印象的なエピソードの一つであり、壮大な戦闘シーン、緊迫感あふれる展開、そして登場人物たちの心理描写が見事に組み合わさっています。このエピソードは、今後の物語の展開を大きく左右する重要な転換点となり、視聴者に深い印象を与えました。

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