落合村 (広島県)

落合村（おちあいむら）

かつて広島県安佐郡に存在した自治体で、現在は広島市安佐北区の一部地域を占めています。地理的には、中国地方を流れる太田川とその支流である諸木川、そして落合川といった河川の流域に広がる地域でした。

歴史

落合村の歴史は、明治時代の町村制施行によって大きく動き出しました。1889年（明治22年）4月1日に町村制が施行された際、現在の落合村にあたる地域を含む形で高宮郡深川村が誕生しました。しかし、その数年後の1895年（明治28年）9月1日、深川村を構成していた大字のうち、諸木、末光、玖、岩上といった地域が分かれて独立し、落合村として発足することになります。この分立の背景には、地域ごとの産業構造の違いがありました。独立した落合地域は、伝統的に副業として木履（げた）の生産が非常に盛んであったのに対し、深川地域は主に農業が営まれており、人々の暮らしぶりや風俗に相違が見られたため、村を分けることになったと伝えられています。

その後、行政区画の再編が進み、1898年（明治31年）10月1日には郡の統合に伴い、落合村は安佐郡に属することとなりました。

昭和に入り、戦後の地方行政再編の中で、落合村は周辺の村との合併を選択します。1955年（昭和30年）3月31日、落合村は同じ安佐郡に属していた深川村、狩小川村、口田村と合併し、新たに町制を施行して高陽町が誕生しました。この合併をもって、落合村はその自治体としての歴史に幕を下ろし、廃止されることとなりました。

地名の由来

「落合」という地名がつけられた由来については、いくつかの説が伝えられています。一つは、村を流れる川の名前に由来するという説。また別の説としては、村の地理的な特徴から来ていると考えられており、太田川とその支流である川と川が合流する地域であったためという説や、山々の谷間が落ち合う場所に位置していたためという説などが挙げられています。

産業

落合村で営まれていた主な産業としては、農業に加え、前述のように木履生産が特筆されます。木履生産は地域の重要な副業として、人々の生活を支えていました。

交通

交通網としては、1913年（大正2年）に芸備鉄道（現在のJR芸備線）の広島駅と志和地駅の間が開通したことで、村内に玖村駅が開設されました。これにより、地域住民の移動や物資の輸送の利便性が向上し、地域の発展に寄与しました。

参考文献など

落合村に関する情報は、『角川日本地名大辞典 34 広島県』や『市町村名変遷辞典』（東京堂出版、1990年）などの文献に収められています。また、広島県の廃止された市町村の一つとして、関連する一覧に含まれています。

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