葛原冷蔵

葛原冷蔵株式會社の歴史と業績

葛原冷蔵株式会社は、1922年に設立された日本の海運会社で、食品の機械冷凍を初めて行った企業として知られています。設立者は山口県出身の葛原猪平で、彼は豊富な日本の水産資源をアメリカ式の低温流通システムで活用しようと考え、1920年には北海道森町や気仙沼など全国に冷蔵庫を建設しました。この取り組みが功を奏し、翌年には冷蔵運搬船の建造を発注し、さらなる事業展開を目指しました。

設立と拡大

1923年、日本政府が冷蔵庫や冷蔵運搬船の建造に対する資金助成を開始したことも追い風となり、多くの企業がこの分野に参入しました。しかし、葛原冷蔵は北洋漁業の閑期には冷蔵船をフル活用できず、消費者から生食でない魚の需要も少なかったため、経営は厳しさを増しました。資金調達のために八千代生命保険や星製薬に支援を求め、藤本ビルブローカー銀行を通じて資金を獲得しようとしましたが、最終的には資金繰りが難航しました。

経営の危機

1925年5月に会社整理の方向が示され、同年10月には八千代生命保険からの負債が大きく報道されます。これに伴い商工省が介入し、同社に対する資金回収の命令を出しました。1926年3月には株主総会が開かれ、会社名を「東洋冷蔵株式会社」と改称することが決定しました。取締役には美濃部俊吉、倉地鉄吉、藤村一松の3名が就任し、葛原は退任しました。

売却と再生

その後、1927年から1928年にかけて、同社の資産は最大債権者の藤本ビルブローカー銀行によって差し押さえられ、日魯漁業（現在のマルハニチロ食品）に売却されます。日魯はこの会社を買収した上で、さらに葛原冷蔵が所有していた長光丸も取得しました。改称後の東洋冷蔵株式会社は、1948年に新たに設立されていますが、旧葛原冷蔵とは無関係の企業となっています。

冷凍船の運営

葛原冷蔵は、いくつかの冷凍船を所有しており、特に江浦丸、幸光丸、海光丸が知られています。江浦丸は1900年に建造され、1925年から同社に所属しましたが、1928年には他社に売却されました。幸光丸や海光丸も同様に、設立時期や取引先の移動がありました。これらの冷凍船は、日本の冷凍農業の発展に寄与するとともに、海運業界の変遷を見守ってきました。

破綻後の影響

森工場は葛原冷蔵の破綻後、北海道拓殖銀行の所有となった後、合併を経て現在はニチレイフーズの森工場となっています。これにより、かつての葛原冷蔵が培った冷凍技術は、他の企業に引き継がれていくことになりました。現在では、葛原冷蔵の短い歴史が日本の食品業界に与えた影響は無視できないものがあります。

関連事項

葛原冷蔵に関連する企業には、八千代生命保険や星製薬、藤本ビルブローカー銀行などがあります。これらの企業は、葛原冷蔵の状況に深く関与しており、当時の日本の経済状況を反映した歴史的な背景があります。

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