葛山氏広

葛山氏広について

葛山氏広（かつらやま うじひろ）は、日本の戦国時代に存在した武将で、駿河国の葛山氏の当主です。彼は、伊勢宗瑞（北条早雲）の子であると同時に、北条氏綱の弟という血筋を持ち、今川氏親の従兄弟にあたります。氏広の生涯は、戦国の動乱の中でどのように展開したのか、見ていきましょう。

生い立ちと家督継承

氏広は伊勢宗瑞の子として誕生しました。具体的な生年は不明ですが、北条氏綱の弟である氏時、宗哲（幻庵、1493年または1501年）との間に生まれたとされています。彼は、永正10年（1513年）以前に元服し、駿河国における国人領主である葛山氏の養子として家督を継承しました。宗瑞の側室が葛山氏の娘であることから、この養子縁組が行われたと考えられています。

葛山氏はもともと今川氏に従属する家門でしたが、氏広の家督継承によって今川氏の御一家に列することとなりました。彼の家系は、駿河今川氏の庶流であり、小鹿範満の一族に次ぐ家格を持っていました。そして、氏広がこのような地位にあるのは、父の宗瑞が今川氏親の母方の叔父であったためとも言われています。彼の名前に含まれる「氏」は、氏親からの偏諱を受けたものと推測されています。

軍事活動と官職

永正12年（1515年）11月、今川氏親の命令に従い、氏広は葛山氏、福島氏、庵原氏を率いる今川軍の一員として甲斐国へ派兵されました。この時、彼は勇敢に従軍したと推測されています。大永4年（1524年）には、家臣である関孫九郎に所領を与えたことが確認されており、これは氏広が権力を握りつつあった証拠です。また、駿府に屋敷を構え、今川氏の下で奏者も務めていました。

天文元年（1532年）4月13日には、正式な官職として中務少輔と称しています。天文6年（1537年）には、北条氏綱と今川義元が対立した河東一乱において、氏広は氏綱側に加担したことも知られています。これにより、彼は北条家内での立場を一層確固たるものにしました。

晩年と死去

天文7年（1538年）9月19日には、鶴岡八幡宮において氏広のための大般若経の転読が行われました。このことから、彼がこの時期に病床にあったことがうかがわれます。翌年の天文8年（1539年）4月12日には、氏広の法号である「龍光院殿」が記載された朱印状が残されています。このことから、彼はこの間に病死したと推定されています。

氏広の菩提寺は、彼が開基した龍雲寺であり、静岡県沼津市多比に位置しています。彼の死後、家督は葛山氏元が引き継ぐことになりました。氏広の生涯は、彼が織りなした戦国の動乱の中での家族、忠義、そして名誉に満ちたものでした。

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