葛西薫

葛西 薫 (かさい かおる)

概要

葛西薫は、日本のアートディレクターであり、サン・アドの取締役副社長を務め、東京造形大学の客員教授でもあります。彼は1949年に北海道札幌市で生まれ、4歳で室蘭市に移り住みました。高校卒業後は文華印刷に入社し、その後大谷印刷を経て、1973年にサン・アドに入社しました。以来、彼は日本の広告業界でその名を知られています。

代表的な業績

葛西は、数多くの著名なブランドの広告キャンペーンを手掛けてきました。彼の作品には、サントリーウーロン茶（1982年～）、ソニーオーディオ（1979年～1992年）、サントリーモルツ（1986年～1992年）、西武百貨店「日本一の市」（1986年～1992年）、ユナイテッドアローズ（1997年～）などが含まれます。各キャンペーンは、落ち着いた色合いにユーモアやペーソスが漂う独自のスタイルで、視聴者の心に残ります。

さらに、企業のCIサイン計画や装幀・エディトリアルデザインにおいても多岐にわたるプロジェクトに関与しています。セゾングループのブランド「uraku」「I.S.」「tsumori chisato」や、長野県の諏訪湖博物館・赤彦記念館などのプロジェクトも手掛けています。これらのデザインでは、葛西の独自の視点と感性が見事に表現されています。

映画と書籍

映像作品でも影響力を持ち、1995年には是枝裕和監督の映画『幻の光』のタイトルデザインや広告美術を担当しました。その後も様々な映画作品に参加し、観客の心に残るビジュアルを提供してきました。彼が手がけた映画には、『ワンダフルライフ』（1998年）、『誰も知らない』（2004年）、『海よりもまだ深く』（2016年）などがあります。

また、彼の仕事は書籍としてもまとめられており、『葛西薫の仕事と周辺』（2002年）や、図録『KASAI KAORU 1968』（2010年）などが出版されています。これらの書籍を通じて、彼のクリエイティブなプロセスや発想を掘り下げることができます。

受賞歴と評価

葛西の功績は多くの賞によって認められています。彼は東京ADC最高賞、朝日広告賞、毎日広告デザイン賞優秀賞などを受賞し、クリエイティブ業界における地位を確立しました。彼の作品は「見る価値のあるCM」にすることを重視しており、広告の社会性が欠けていると感じる最近の CM については批判的な見解を述べています。

最後に

葛西薫は、アートディレクターとしての豊かな経験と知識を持ち、日本の広告デザインやアートの発展に寄与しています。彼の作品は、シンプルでありながら社会や文化に対する深い洞察を表現し、クリエイティブな視点から現代社会にアプローチしているのです。特に、彼が手にした紫綬褒章（2015年）は、そのキャリアの中での評価を象徴するものであり、今後ますますの活躍が期待されます。

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