葵涌

葵涌（クワイチョン）

葵涌は、香港の新界南西部に位置する地区で、荃湾ニュータウンの一部を形成しています。行政区としては、かつて荃湾区に属していましたが、現在は青衣島とともに葵青区を構成しています。地区は上葵涌、中葵涌、下葵涌に細分化され、上葵涌や下葵涌には大規模な住宅団地が集中している一方、中葵涌は工業団地として機能しています。

経済と産業

葵涌は、香港でも有数の工業・商業地域として知られています。特に、葵涌コンテナターミナルは世界でも6位の取扱量を誇るターミナルであり、多くの企業が事務所を構えています。同時に、多数の住宅団地も抱えており、住居と産業が共存する地域となっています。

歴史

葵涌の歴史は、少なくとも明代に「葵涌海澳」が設立された時代まで遡ることができます。当時、東には官富巡検司、西には屯門海澳が存在していました。16世紀の大航海時代には、ポルトガルが屯門に植民地を築き、葵涌海澳一帯で戦闘が繰り広げられました。1898年以降は、イギリスの植民地である香港の一部として新界に組み込まれました。

長らく開発が進んでいませんでしたが、1960年代に入り、香港の衛星都市として荃湾ニュータウンの開発が進められる中で、住宅団地が次々と建設されました。1985年には、葵涌は青衣島とともに荃湾区から分離し、葵青区として独立しました。1990年には新界東を結ぶ幹線道路である城門トンネルが開通し、1990年代には新空港建設に伴い、青嶼幹線が葵涌と青衣を通るルートで計画され、葵青区は大きく発展しました。一方で、1960年代から1970年代にかけて移り住んだ住民の高齢化も進んでいます。

外国人労働者のコミュニティ

1970年代、香港の産業発展を支えるため、パキスタン、インド、ネパールなどから多くの男性労働者が働きに来ました。葵涌はコンテナターミナルや造船所、紡績工場などが集まる工業地帯であり、彼らに多くの雇用機会を提供しました。これらの南アジア出身の労働者たちは、交通費を節約するため、葵涌と石籬の間の屏麗径に共同でアパートを借りて住むことが多く、この地域に独自のコミュニティを形成しました。現在では、労働者の二世が多く居住しており、2011年の人口調査では、葵青区に約2000人のパキスタン人が住んでおり、油尖旺区、元朗区に次いで3番目に多い居住地となっています。

商業施設

葵涌は、もともと荃湾区の一部であり、荃湾ニュータウンの一部として開発されました。そのため、中心市街地は荃湾に置かれ、葵涌には中心街がありませんでした。しかし、葵涌が荃湾区から分離した後、葵青劇場などの公共施設が整備されました。港鉄葵芳駅周辺は、葵盛遊泳池、葵涌運動場、南葵涌賽馬会診所などの施設に加え、新都会広場や葵涌広場といった商業施設も立地しており、葵涌の中心的な役割を果たしています。

主要な施設

葵涌には、以下のような施設があります。

商業施設

• - エヴァーゲインプラザ
• - メトロプラザ
• - 九龍貿易センター
• - KC100
• - ブロードウェイセンター
• - メトロロフト
• - アジア貿易センター
• - 葵涌プラザ
• - ウェルシーガーデン

ホテル

• - ホテルコージー・オアシス
• - ホテルイーズ荃湾
• - ホテルイーズアクセス荃湾
• - ドーセット荃湾ホテル
• - シルカ荃湾香港

病院

• - プリンセスマーガレット病院
• - 葵涌病院

運動場

• - 葵涌運動場
• - 和宜合道運動場

工場

1970年代には、紡績工場など様々な工場が工業団地内に進出し、多くの雇用を生み出しましたが、中国本土の改革開放政策以降、多くの工場が本土に移転しました。跡地にはアート関連の施設などが設けられています。

住宅

公営住宅

葵涌には、1960年代から1970年代にかけて開発された公営住宅が多く存在しますが、一部は1991年から2008年にかけて建て替えられています。葵涌邨は、荃湾ニュータウンおよび葵青區において最大の公営住宅となっています。

交通

葵涌には、香港MTR（地下鉄）が乗り入れています。

路線

• - 荃湾線：（中環方面） - 美孚駅 - 茘景駅 - 葵芳駅 - 葵興駅 - 大窩口駅 - （荃湾方面）
• - 東涌線：（香港方面） - 茘景駅 - （東涌方面）
• - 屯馬線：（烏渓沙方面） - 美孚駅 - （屯門方面）

出典

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