葵生川玲

詩人、葵生川 玲（あおいかわ れい）

詩人の葵生川 玲氏は、1943年（昭和18年）1月26日に北海道滝川市で、本名である横山 力男（よこやま りきお）として生を受けました。現在は東京都北区を拠点に創作活動を行っており、日本の現代詩壇において、詩作のみならず、詩文化全体の振興と普及に長年わたり尽力してきた功労者として知られています。

葵生川氏は、そのキャリアを通じて詩壇の発展に深く関わってきました。特に、全国の詩人たちの発表の場として重要な役割を果たす月刊詩誌『詩と思想』（土曜美術社出版販売発行）においては、編集委員を務めた後、編集長として采配を振るいました。この時期、氏は全国の詩人たちを結びつけ、日本の詩がより活性化し、広がりを持つための様々な運動の中心的な推進者となりました。詩誌の編集を通じて、多くの新しい詩の才能を発掘し、また既存の詩人たちの活動を支援することで、詩壇全体の底上げに大きく貢献しました。

また、詩作や詩誌編集と並行して、日本の主要な詩人団体においても重要な役職を歴任し、詩壇の運営や発展に貢献しました。所属団体である日本現代詩人会では、会の代表として運営を担う理事長を務めたほか、会の歴史における重要な節目である60周年記念事業においては、事務局長として企画立案から実施まで、実務全般を取り仕切りました。さらに、日本の詩人たちが集うもう一つの主要団体である「詩人会議」でも副委員長を務めるなど、日本の現代詩が直面する様々な課題に対し、異なる立場から真摯に向き合い、その解決と発展のために尽力しました。これらの経験は、氏が詩人としてだけでなく、詩壇全体を見渡す広い視野を持っていたことを示しています。

現在も葵生川氏は精力的に活動を展開しています。同人詩誌「飛揚」の代表として、新しい世代の詩人たちが作品を発表し、交流を深める場を提供しています。また、「視点社」の編集長として、質の高い詩集や詩関連書籍の出版活動を継続しており、詩の魅力を多くの読者に届けています。加えて、自身のウェブサイト「葵生川玲氏の詩的な生活」を通じて、インターネット上での詩文化の普及や活性化を目指した活動も積極的に行っています。これらの現在の活動は、長年にわたる詩壇での経験と知見を活かし、現代社会における詩のあり方を模索し、その可能性を広げようとする氏の情熱を示しています。

主な著作と思想

葵生川氏の詩業は、多岐にわたるテーマと独自の詩的感性によって彩られています。これまでに多くの詩集を刊行しており、その代表的な作品としては、以下のものが挙げられます。

『歓びの日々』（2011年、視点社より刊行）
『ないないづくしの詩』
『冬の棘』
『夕陽屋』
『苦艾異聞』
『ヤスクニ・ノート』
* 『草の研究』

特に詩集『はじめての空』は、日本の現代詩における重要な文学賞の一つである第28回壺井繁治賞を受賞しました。この受賞は、葵生川氏の詩が持つ高い文学的評価を確立するとともに、氏の詩壇における存在感を一層確固たるものとしました。

また、氏のこれまでの詩作活動を総括する選詩集も刊行されています。これには『葵生川玲詩集成』のような網羅的なものや、俳優の松村彦次郎氏が朗読を担当したカセット詩集『葵生川玲詩集』などがあり、多様な形で氏の詩の世界に触れる機会を提供しています。

詩作のみならず、葵生川氏は詩に関する評論や編著も手掛けています。編著としては『現代都市詩集』があり、現代社会の象徴ともいえる都市をテーマにした詩を選りすぐることで、現代詩の新たな側面を提示しました。評論集としては『詩とインターネット』があり、インターネットが普及した現代において、詩がどのように変化し、どのような可能性を秘めているかについて、独自の考察を展開しています。これらの著作は、葵生川氏が詩作だけでなく、詩を取り巻く社会や文化的な状況にも深い関心を持ち、多角的な視点から詩と向き合ってきた証と言えるでしょう。氏の長年の活動と業績は、今後の日本の詩壇においても、重要な影響を与え続けると考えられます。

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